『ザ・スクエア 思いやりの聖域』 現代社会を皮肉たっぷりに描いた、意識高い系風刺コメディ

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 カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した風刺劇。アート界で成功を収めているキュレーターの主人公に降りかかってくる災難の数々を描いた作品。これ、災難とは言ってもものっすごい災難ってわけじゃなくて、めちゃくちゃちょっとした災難です。でもそれがおかしくて、ついつい笑っちゃう。「意識高い系オヤジ」の主人公が次から次へと、「ついていない」事案に襲われていきます。スリに遭って財布とスマホを取られちゃったり、宣伝動画が大炎上したり、イタい女性に捕まってしまったり。シュールすぎて、かなり笑えます。

 パルムドールを受賞した作品っていうから、お堅い映画なのかと結構身構えて観たのですが、あまりにも面白すぎて声を上げて大笑い。鑑賞後に、友達全員に「観てみて〜!」と早速オススメしまくりました。この映画、食わず嫌いで見逃したら、絶対に損します。笑えるシーンがたくさんありすぎて、ワンシーンを思い出しては、未だに「あれは笑った」と思い出し笑いをしちゃうくらいです。

 映像はめちゃくちゃスタイリッシュでかっこいいけど超笑える、最高の風刺作品が、お金持ちの人たちがゴージャスなドレスで着飾って集まってくるカンヌ映画祭で最高賞を取ったってこともまた、どうにも皮肉で超愉快。鑑賞後、笑いと一緒にこみ上げてくる、現代社会への問題点にハッと気付かされた瞬間に、この映画のすごさが分かるはずです。★★★★★(森田真帆)

監督:リューベン・オストルンド

出演:クレス・バング、エリザベス・モス、ドミニク・ウェスト

4月28日(土)から全国公開

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