独ティッセンクルップ、インドで方向性電磁生産 初の現地生産

 ドイツ高炉最大手のティッセン・クルップ(TK)は、インドで方向性電磁鋼板(GO)の本格生産を開始したと発表した。TKはインドでGOの生産に乗り出す初のメーカーとなるとしている。

 TKは事業会社のTKエレクトリカル・スチール(TKES)を通じ電磁鋼板を生産・販売している。インドでは西部のナーシク(マハラシュトラ州)で電磁鋼板を現地生産してきたが、これまでは無方向性電磁鋼板(NO)の生産が中心だった。

 今回のGO生産では、原板をドイツのデュースブルクから供給し、年産能力3万5千トンの脱炭焼鈍ラインで仕上げて供給する。完全なGOの一貫生産ではないが、より印現地で上工程まで手掛ける形になる。

 インドは電力インフラの整備に伴いバーラト・ヘビー・エレクトリカルズ(BHEL)をはじめとした地場企業のGO使用量が増えており、三菱日立パワーシステムズや東芝JSWパワーシステムズといった日系企業も進出している。

 印GO市場は年間25万トン程度にまで伸びているとされ、30万トン規模の北米や欧州といった先進国市場に肩を並べる存在となっている。昨年の日本の印向けGO輸出は8万トン弱で、全体の2割を占める最大の向け先だった。

 TKESが現地生産に乗り出してもなお需要が多いことや生産能力が限られている点から、需給への影響は限定的とみられる。

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