気仙沼地域初の政府登録国際観光旅館「ホテル望洋」が破産開始

 (株)ホテル望洋舘(TSR企業コード:141017554、法人番号:7370501000414、気仙沼市魚町3-1-25、設立昭和39年1月、資本金9900万円、加藤英一社長)は4月16日、仙台地裁気仙沼支部より破産開始決定を受けた。破産管財人には開発健次弁護士(開発法律事務所、登米市迫町佐沼字中江5-2-3、電話0220-23-2660)が選任された。
 負債総額は債権者約25名に対して約7億円。

 気仙沼市魚町の高台に位置する「ホテル望洋」を経営していた。気仙沼地域では初の政府登録国際観光旅館となり、多くの観光客が訪れたほか、地元気仙沼市民を中心に結婚式や各種会合の場としても利用され、平成3年2月期には売上高約7億6500万円をあげていた。
 しかし、その後は市況低迷に伴う観光需要の落ち込みや施設の老朽化などに加え、他の宿泊施設との競合も激化したことにより減収で推移。19年2月期には売上高が1億5216万円まで落ち込み、これまでの赤字から債務超過状態に陥ったほか、一部金融機関の債務がサービサーへ譲渡されるなど厳しい経営を強いられていた。
 23年3月に発生した東日本大震災では、津波被害を免れたことで、避難所として震災被災者を受け入れるなど貢献。避難所を閉鎖した後は、復旧工事関係者や復興支援ボランティアなどの利用で一時的に業績が回復し、24年から26年3月まではホテル運営を復興ファンドに委託するなどして経営を継続してきた。
 しかし、ホテル周辺の復旧進展で宿泊需要が一服したこともあり、28年2月期の売上高は約7500万円に低下。事業継続には老朽化施設の改修に多額の投資が必要だったことから、29年3月をもって営業を終了し、今回の措置となった。

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