金属行人(4月26日付)

 政府の環境保全に関する総合的・長期的な施策の方向性を定める環境基本計画が今月、閣議決定された。SDGs(持続可能な開発目標)とパリ協定の採択後、初めて策定された第五次計画ではあらゆる観点からのイノベーションの創出や経済・社会的課題の同時解決を実現し、新たな成長につなげていくことを目指している▼具体的な政策展開に当たっては、分野横断的な六つの重点戦略(経済、国土、地域、暮らし、技術、国際)を設定。都市鉱山など循環資源の利活用などによる資源生産性の向上も重要な取り組みの一つだ▼第五次計画には「地域循環共生圏」の考え方も加えられた。リユース、リサイクル、廃棄物処理など多様な事業者の連携によって循環資源、再生可能資源を地域で循環利用し、地域産業として確立することで地域経済の活性化などにつなげようというものだ▼小型家電リサイクルの普及に向けては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの入賞メダルを都市鉱山から作るプロジェクトが進行中だが、回収率は地域ごとにばらつきが見られる。国民的な3R活動への参加と、資源循環によって地域に新たな付加価値が生み出される取り組みが進展していくことを期待したい。

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