【工場ルポ】〈JFE建材・熊谷工場〉セグメント生産が活況 レイアウト改善、溶接機増設し対応

 JFE建材(社長・久保亮二氏)の熊谷工場(埼玉県熊谷市、工場長・林伸郎取締役)はシールドトンネル工事などに使用されるセグメント生産が繁忙を迎えている。現地を取材した。(村上 倫)

 熊谷工場は同社4工場で最大規模を誇る中核工場。生産品目もセグメントのほか主力のデッキプレートなど建築商品、道路商品、橋梁商品、鋼管柱、土木製品など多岐に渡る。セグメントはプロジェクトの出件に生産量が左右されるため跛行性が大きいが、足元は大型プロジェクトが盛んで熊谷工場の生産の軸となっている。

 鉄とコンクリートのハイブリッドセグメントを中心に外環道向けに約4万3千トン製作。さらに、環状7号線地下調整池向け約4万4千トンを2021年中頃までに製作する計画で足元はほぼフル生産の状況にある。外環道向けは今年の8~9月ころまでで完了する予定で、その後には横浜環状南線向けに約2万7千トンを21年初頭まで製作する見通し。「阪神高速道路などの需要も見込まれるほかリニア中央新幹線などのプロジェクトも控えている。そのうち合成セグメントがどの程度使用されるかという面もあるが堅調な需要が続きそうだ」(林工場長)。

 これまで内面溶接用の自動ロボット2台×3セットで対応してきたが、環七向けの生産開始に合わせて昨年11月には4セット目の溶接機を導入するなど拡大する需要に対応している。セグメント生産が繁忙を極める一方でガードレールやライナープレートなどの土木製品は需要の低迷で生産量が落ち込んでいることからセグメント生産へシフト。従来、1・2棟で行なっていたセグメントの溶接をライナープレート倉庫(7棟)でも実施。また、部材の溶接についてもガードレールなどの防護柵加工棟(22棟)へ集約すると共に溶接機を1台増設して対応している。

 さらに、生産効率化へレイアウトも変更。1・2棟の仮組みのスペースを拡大したほか7棟についても塗装ラインまでを一気通貫とした。溶接や仮組み、サンダー、検査など大型セグメント生産の作業には180人、中小を含めると240~250人が携わっている。「セグメントと土木などの建材製品との生産量のバランスが崩れている。繁忙なセグメント生産に人員をシフトして設備を100%生かせるようにしていく」。

 分割組立型土留壁「アーバンリング」の需要も好調だ。シールドトンネル用の発進・到達立坑を中心に橋梁下部工などにも採用されており、現在は茨城のガスパイプライン敷設のための立坑や関西における橋梁下部工向けの生産に取り組んでいる。セグメントの出荷は「来年から本格化してくる。出荷量の増大に備えて敷地の西側に門を整備し、構内の整流化を図ることも検討している」という。

 熊谷工場には現場2人、技術1人の計3人の新入社員がこの4月から加わった。多忙な中で「安全も含め個人のレベルアップが大切」と林工場長は強調する。そこで主体的に仕事を進められるよう、若手中心のテーマ報告会を4~5カ月に1回実施。パワーポイントによるプレゼンテーションなどを行っている。また、昨年からはJFEスチールの実施する『JFEカレッジ』にも2~3年目の社員を送り込み溶接や素材、設備の知見を蓄えさせている。多能工化を図るなど同社の中核工場として安定供給を実現し、顧客のニーズに応えていく。

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