東大と九工大、自立型海中ロボットサンプル採取に成功 資源調査など応用期待

 東京大学と九州工業大学は24日、自立型海中ロボット(AUV)を用いて海底からの全自動サンプリング(サンプル採取)に成功したと発表した。従来は船とケーブルでつながる遠隔操縦機(ROV)などがサンプル採取を行ってきたが、ケーブルが不要となるため、小型船での調査が可能となる。資源調査や科学調査で画像や音響データに加え、実物のサンプル採取が可能となることから効率的・高精度な資源賦存量調査などへの応用が期待されている。

 同AUV(名称・ツナ-サンド2)は、全長1・4メートル、重量380キロのホバリング型AUV。搭載カメラで海底面の画像を撮影し、ロボット自らが生物と判断した複数の画像を船上に音響通信で伝達。船上から対象の画像を指定すると、ロボットが撮影位置に戻り、対象となる生物をサンプリングすることに成功した。

 今回の実証では、サンプリングをスラープガンと呼ばれる吸引機で行ったが、作業内容によって別の機能を持たせることや複数機での運用なども可能とみられている。水深2千メートルレベルまで対応が可能なことから海底熱水鉱床など資源調査への展開なども期待される。九工大の浦環特別教授は「AUVの強みを生かしながらアプリケーションを広げていければ」と話した。

 AUVは、海底の写真撮影や音響調査が得意だが、海底の生物や鉱物を採取できないことが課題だった。このため、サンプル採取はROVなどで行うが、ケーブルによって移動が制限されることや船上装置が巨大で大型船が必要になることが課題だった。

© 株式会社鉄鋼新聞社