南北会談に水差したトランプ大統領

By 太田清

米CIA長官として訪朝し、金正恩朝鮮労働党委員長(右)と握手するポンペオ氏(ホワイトハウス提供・共同)

 27日の南北首脳会談で融和ムードが広がる北朝鮮情勢だが、トランプ米大統領は26日朝のFOXニュースの番組での電話インタビューで、5月か6月に予定されている米朝首脳会談が行われない可能性に再び言及した。 

 大統領は「(会談しても)すぐに打ち切り、敬意を持って立ち去ることもあり得るし、会談が行われない可能性さえある。北朝鮮側が会談したがっていることは確かだ」と語った。会談の日程については3~4の案があり、会談場所については5カ所が検討されていることを確認した。 

 大統領はまた、中央情報局(CIA)長官として北朝鮮を訪問したポンペオ氏が当初、金正恩朝鮮労働党委員長と会談する予定がなかったことも明らかにした。ホワイトハウスは26日、ポンペオ氏が平壌で金正恩委員長と握手した写真を公開した。 

 米国内では、米朝首脳会談により、北朝鮮が「対等なパートナーとして米大統領と会談することで、政権の正統性を認めさせるという大きな得点を得る」(CNNテレビ)一方、米国はほとんど得られるものがないとの論調が強まっており、トランプ氏としても首脳会談自体に慎重な姿勢を示さざるを得なくなっている。 

 政治専門サイト「ポリティコ」などが行った最新の世論調査では、北朝鮮の脅威に対する大統領の対応を全く信頼していないと答えた人は、3月の調査より3ポイント増え34%に達するなど、米政権の北朝鮮政策への厳しい見方が増えている。

 また、北朝鮮の非核化を巡り、検証可能で不可逆的な即時核放棄を求める米国と、段階的な核放棄を求めているとされる北朝鮮の間に、なお大きな溝が残っているとも指摘されている。 (共同通信=太田清)

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