4241日ぶり白星の松坂大輔 初対峙の後輩・筒香に“敬意”「彼の存在は特別」

DeNA・筒香を左飛に打ち取った中日・松坂【写真:荒川祐史】

初回の第1打席は左飛も2、3打席目は四球「めっちゃ力入りました」

 4241日ぶりに、国内で白星をつかんだ中日の松坂大輔投手。30日、本拠地ナゴヤドームで行われたDeNA戦で今季3度目の先発マウンドに上がり、6回1失点で勝利投手となった。8個の四死球を与えながら、与えた得点は押し出し四球による1点だけ。まさに粘りの投球だった。

 この日の登板で勝敗とともに注目されていたのが、DeNAの主砲である筒香嘉智外野手との対決だった。ともに神奈川の名門・横浜高校の出身である2人。37歳と27歳と、10歳離れた“同門対決”が、ナゴヤドームで実現した。

 初回、2死走者なしでの第1打席は2球目のチェンジアップを打たせて左飛。「あのプレーが大きかったですね」。四球で出した先頭の神里和毅の盗塁を女房役の大野奨太が阻止したこともあり、3人で初回を切り抜けると、その直後に味方がいきなり3点を先制した。

 3回の第2打席、松坂が投じるボールに対して、筒香もフルスイングで応えた。2球がファールとなり結果は四球。ただ、松坂の力と気持ちのこもったボールと、筒香の渾身のフルスイングは間違いなくスタンドで見守った観衆を、中日ファン、DeNAファンを問わずに魅了した。

 5回の第3打席も四球に終わり“横浜高校対決”は3打席で1打数無安打で終わった。ただ、時代は違えど、ともに日本で指折りのプレーヤーとなった2人の対戦は、やはり独特の雰囲気を醸し出した。それは松坂にとっても、特別な時間だった。

 試合後、筒香について話題が及ぶと、松坂はどことなく嬉しそうに、口を開いた。「めっちゃ力が入りました。絶対に三振を取ってやろうと思っていましたけど。高校の後輩だから、ということもありますけど、今や日本を代表するバッターなので」。力ずくで抑えにいったことを隠そうともしない。

喜びを覚えた対決「彼の存在は特別」「いいなぁと思いましたね」

 若かりし頃に戦ったイチローや松中信彦といった好敵手と対峙した時の感覚を思い出したのかもしれない。「これほどまでに強烈に意識する打者というのも、そんなにいない。彼の存在は特別だと思う。そうなるだろうな、とは思っていました、自分で。自然と力が入ることになるだろうなと」。独特の感覚に、間違いなく松坂は喜びを覚えていた。

 松坂の全力投球に、フルスイングで応えた筒香。球界を代表する、そして“侍ジャパンの4番”となった10歳下の後輩を、松坂は「いいなぁと思いましたね。まあランナー1人出て、彼のところに回ってきたらそれだけでピンチだとは思うんですけど、あのスイングを見て、すごい気持ちいいなというか、こっちも負けていられないなという気持ちにさせられますよね」と称えた。

 惜しむらくは、結果的に2つの四球を与えてしまったこと。「3打席ともしっかり抑えたかったですね」と振り返った松坂だったが、今シーズンはまだ4月が終わったところ。シーズンの先はまだ長い。今後も対戦する機会はあるはずだ。「松坂対筒香」。横浜高校出身の先輩後輩対決は、2018年シーズンにおける名勝負となるかもしれない。

(Full-Count編集部)

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