東京鉄鋼と伊藤製鉄所、経営統合に向けまず資本・業務提携

 電炉小棒メーカー、東京鉄鋼(社長・吉原毎文氏)と伊藤製鉄所(社長・伊藤壽健氏)は27日、持ち株会社方式などの経営統合に向けた一つのステップとして資本業務提携契約を締結したと発表した。前年度の下期以降、主原料の鉄スクラップ価格上昇などで両社とも厳しい収益環境にあるため、経営統合に要する人的資源を販売や製造面での協業に振り向け、まずは業績の回復を優先する。同日付で東京鉄鋼は伊藤製鉄所の株式21・07%を所有。伊藤製鉄所は東京鉄鋼の持ち分法適用会社となったが、両社は引き続き対等の精神にのっとって経営統合に向けた協議を進めていくとしている。

 両社は昨年8月28日、経営統合に向けた協議を開始すると発表。その後は現在までも経営統合に向けた協議を進めているが、昨年から鉄スクラップ価格が大幅に上昇しているほか、さまざまな資材や輸送費の高騰もあって両社の事業環境が悪化。前期の業績はともに赤字の見通し。

 当面は統合作業に要する人的資源を本業に振り向け、業績回復に全力を注ぐことが必要との認識で両社が一致。関係をより強固なものとし、相互に事業基盤を強化するには資本業務提携が最善の方法と判断した。

 事業提携の内容は、販売面での協業のほか生産体制の最適化と輸送効率の向上、製造技術やノウハウの共有、調達コストの削減など7項目。具体的な取り組みは今後固めるが、OEMの拡大や共同購買が有力とみられる。

 東京鉄鋼による伊藤製鉄所の株式20%超50%以下の取得に関しては、4月初旬に公正取引委員会から認可が得られている。

 東京鉄鋼は27日付で伊藤製鉄所の既存株主から258万8800株を取得。既存所有分(30万株、発行済み株式数の2・17%)と合わせ、288万8800株(議決権所有割合21・07%)を保有した。なお、株式の取得額は非公表とした。

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