<社説>日銀2%目標削除 副作用正視し出口探ろう

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 日銀は金融政策決定会合で、物価上昇率2%目標を達成する見通しを「2019年度ごろ」としてきた達成時期を削除した。

 19、20年度の物価上昇率見通しが1・8%にとどまり、達成時期を示すのが困難になったとみられる。

 この5年間、日銀は達成時期を6度先延ばしにしてきた。今年3月の物価上昇率は0・9%と、目標とはなお遠い。2%実現が展望できない現状に、黒田東彦日銀総裁が金融政策の破綻を認めたというのが実情ではないか。

 しかし、金融政策決定会合では現行の異次元金融緩和策を維持すると決めた。黒田総裁は会合後の記者会見で「金融政策のスタンスを変えたわけではない」「19年ごろには2%に達する可能性が高い」と、従来の見解を繰り返したが、いかにも苦しい。

 達成時期を示せば、物価目標を達成できなくなったとき追加緩和が必要になる。しかし追加緩和をしようにも国債の買い入れは限界に近い。7度目の先送りによる信用失墜

を避けたかったこともあろう。

 日銀が大規模緩和を続ける中、その副作用への懸念は強まっている。

 日銀は市場に出回る大半の国債を買い続けることによって株価を下支えしてきた。そのために日銀が購入してきた国債は約450兆円に上り、発行残高の4割超に達した。上場投資信託(ETF)の保有高も約24兆円と市場に出回る株式の4%弱を占める。

 国際通貨基金(IMF)の17年のまとめによれば、国の経済力を示す国内総生産(GDP)に対する借金の比率は、日本は236%で世界第1位だ。借金の比率が100%を超えたら財政不安とみなされる。日本が太平洋戦争に敗れた時期が200%超だったと言われるが、それを超えた。日銀が保有する国債やETFの膨らみは将来の経済・金融面のリスクになりかねない。

 超低金利政策も思うような企業の設備投資や消費喚起を生まず、超低金利の長期化は金融機関の収益を圧迫している。

 日本経済は海外経済の好転もあり、株価や企業収益、雇用などは上昇した。しかしこれらが、どの程度日銀の政策効果によるものなのかは検証が必要だ。子や孫の世代に借金をつけ回した上での危ういバランスに成り立っていることを忘れてはならない。

 19年10月には消費税の10%増税が予定されている。景気拡大の原動力だった海外経済が失速する懸念もある。欧米では超金融緩和の正常化を進めている。日本も金融政策の見直しが迫られている。

 将来のリスクに備えて金融政策を正常化し、大規模緩和をどう手じまいするか。その「出口」の議論が必要な時期に来ている。

 日銀は金融緩和策の検証を進め、市場に混乱を持ち込まないよう、必要な修正を適宜行う必要がある。