帰宅困難対策を拡充 MM地区・事業所など連携 滞在施設増、マップ更新

 横浜・みなとみらい21地区(MM21地区)の集客施設や事業所が連携し、災害時の帰宅困難者対策の拡充に努めている。一時的な滞在施設はこの1年で2カ所増え、計20カ所を確保。それらの位置や対策の考え方を記したガイドマップも更新し、無料配布している。 

 MM21地区では、まちづくりの調整などを担う一般社団法人「横浜みなとみらい21」が中心となり、帰宅困難者向け一時滞在施設の登録制度を独自に運用。2017年10月に策定した都市再生安全確保計画の中では、災害時に支援が必要となる帰宅困難者数を約2万7千人と想定し、地区内の施設や事業所に制度への協力を求めている。

 その結果、昨年4月時点で18カ所だった一時滞在施設に横浜メディアタワーと横浜みなとみらい万葉倶(く)楽(ら)部(ぶ)が加わり、計20カ所に。受け入れ可能な人数はなお想定人数に届かないが、同法人は「今後、進出予定の事業所も含め、一時滞在施設への登録を呼び掛けていきたい」としている。

 同地区は耐震性のある高層ビルが多く、地盤対策も講じられているため、延焼火災や液状化、津波浸水のリスクは低い。

 一方で開発の進展に伴って来街者が増え、年間約8千万人を数える。事業所の数も1800社を超えており、帰宅困難者対策は優先課題だ。隣接する横浜駅周辺地区と連携して帰宅困難者を船で運ぶ可能性を検証するなど、混乱回避への多様な仕組みを整えようとしている。

 同時に、来街者に落ち着いて行動してもらうための情報提供にも力を入れている。今年4月から配布している第3版のガイドマップは1万部発行。一時滞在施設や自動体外式除細動器(AED)の設置状況などを最新の内容に更新した。災害時に有用なサイトや徒歩で帰宅する際の注意点なども案内している。

 マップは観光案内所やホテル、主な商業施設のインフォメーションなどで入手できる。問い合わせは、横浜みなとみらい21電話045(682)4404。

更新されたガイドマップ。帰宅困難者になったときの心得も記している

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