高炉大手の17年度輸出比率、新日鉄住金は発足後最低に JFEは5年ぶり上昇

 高炉大手3社の2017年度の鋼材輸出比率(金額ベース)は、新日鉄住金が前年から1ポイント低下して41%となり、発足後の最低となった。内需の堅調と生産不調が重なり、輸出向けの成約を一段と抑制したことが表れた。JFEスチールは0・4ポイント高い44・4%と、小幅ながら5年ぶりに上昇へ転じた。

 17年度の海外鉄鋼市況は期初に調整局面を迎えたが、以降は概ね強基調で推移した。代表品種の熱延コイル価格は昨年4~6月にトン当たり400ドル台半ばだったが、現状では600ドルを超えるまで上昇している。為替は1ドル=111円程度と前年度から2円の円安となったが、概ね安定していた。

 この環境下で、新日鉄住金の輸出比率が前年度に続き最低を更新した主因は、減産を強いられる中で輸出量を落とさざるを得なかったため。大分製鉄所では火災で厚板ミルの操業が昨年8月初旬まで止まり、厚板輸出が大幅に減った。台風などで大分や鹿島といったホットの輸出拠点となる製鉄所の生産も振るわなかった。限られた玉を海外市況の中でも高値で売り込んだが、数量減を面積的に補い切れず、直近の1~3月期(4Q)の輸出比率も41%と底ばいが続いている。

 JFEは昨年9月に東日本製鉄所京浜地区で転炉トラブルが生じるなど減産影響はあったが、自動車生産が好調だった中国事業への原板輸出が増え、低迷していたエネルギー鋼材輸出もやや復調した。全体の輸出量自体は減ったが、構成差の変化で金額ベースでの輸出比率が上がったようだ。4Qは45・9%と、前年同期から1ポイント高かった。

 神戸製鋼所は1・4ポイント下がり27・2%と、5年ぶりの低い水準だった。昨年10~12月期にデータ改ざん問題への対応で国内出荷を一時的に見合わせたため輸出比率が29・3%へ上がる局面もあったが、4Qには26・6%へと再び低下した。

 18年度は単独粗鋼で新日鉄住金が4200万~4300万トン、JFEスチールが2900万トンを計画しており、生産回復に伴って一定の輸出比率上昇が見込まれる。しかし足元でも高炉不調や設備改修予定といった減産要因を抱えており、内需が堅調な中で実際にどれだけ輸出余力が生まれるかは不透明だ。

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