金属行人(5月2日付)

 大型連休の谷間ながら関東地区では鉄スクラップ市況の基調がじわりと強まっている。先週末にかけて電炉メーカー各社が連休対策で在庫確保の動きを強め、個別対応による買値引き上げを実施。メーカー買値が先行上昇する中、船積みの堅調もあって1日時点で湾岸価格も一段高となった▼電炉メーカー各社は電気料金が割安なゴールデンウイーク期間に昼夜連続の集中操業を行う。このため、大型連休前に鉄スクラップ在庫を積み増すが、これが鉄スクラップ需給を引き締め、市況を押し上げる要因とされてきた。ただ、近年では輸出が市況に与える影響が大きくなり、GW前に市況が強含むとは言い切れなくなっている▼実際、昨年のGWには鉄スクラップ市況が下げ基調のまま突入し、連休の谷間にも電炉メーカーで買値引き下げの動きが続いた。もちろん電炉各社は集中操業を行ったが、輸出船積みが低調だったことで電炉の連休対策があっても需給が引き締まらなかったためだ▼結局、発生余剰の関東地区は輸出の動向が市況のカギを握っている。今年は船積みが堅調な中でGWを迎えたことが市況を押し上げた、と言うのが正確だろう。連休明け後も基調はしっかりとの見方が多いが、韓国メーカーの買いが鈍っており、船積みの動向には引き続き注意が必要だ。

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