キラキラ輝く「ガラスの砂浜」 若者の人気スポットに!

人工砂シーグラスが広がる浜=長崎県大村市森園町

 長崎県大村市森園町の森園公園近くにある「ガラスの砂浜」が、若者の人気スポットになっているという。砕いたガラスがまかれているらしい。「危なくないのか」と疑問を感じつつ、見に行った。
 現地に着くと一面、ガラスの粒が太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。黄、緑、青などカラフルだ。歩くとサク、サクと音を立てて心地よい。ガラスの角は取れていて、靴で踏んでも危なくはなさそう。手触りはサラサラとしている。
 長崎県地域環境課に聞いてみると、このガラスは「シーグラス」と呼ばれ、長崎県内の家庭ごみで出された空き瓶などを、リサイクル業者が細かく粉砕して作った人工砂。一粒は直径5ミリ以下で、砂浜の粒としては大きい方だろう。
 まいた理由は、大村湾を浄化するためだとか。なぜガラスの人工砂で海がきれいになるのか。
 今度は長崎県環境保健研究センター(大村市)に聞いてみた。
 粒が大きい人工砂には、アサリの幼生が着床しやすいという。アサリなどの二枚貝は、海中のプランクトンを食べて海水を浄化する働きがある。つまり、ガラスの人工砂をまくとアサリが増えて、結果的に水質が改善されるというわけだ。
 この砂浜は元々、砂の粒が細かい上に、土もあちこち露出していてアサリの生息に適していなかった。このため、県が2016年に砂浜全体(約1ヘクタール)に約3千立方メートル分をまいた。
 長崎県地域環境課の職員は「大村湾では昨年からアサリを食べるエイが見られるようになりました。アサリは増えてきているようです」と話す。
 天気のいい日には、地元の中学生が記念撮影をしたり、カップルが訪れたりしてにぎわう。近くに住む20代の女性は「とてもロマンチック。インスタグラム(写真共有アプリ)の撮影をしようと訪れる友達もいるみたい」とほほ笑んだ。
 ガラスの砂浜で育ったアサリは、どんな味がするのだろう。想像を巡らせながら、夕日に照らされたガラスの浜を後にした。

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