歌声にご当地愛 神奈川・愛川のデュオ「陽炎」がオリジナル曲

 生まれ育った町へ、感謝の気持ちを歌に込めて-。神奈川県中井町のご当地デュオ「陽(かげ)炎(ろう)」が、地域密着の活動を続けている。メンバーの野地俊孝さん(28)と、小澤一輝さん(28)は、小学校以来の友人同士。自治会のお祭りなど、町内のイベント会場で“中井愛”にあふれたオリジナル曲を歌って盛り上げている。

 4月1日、同町松本地区で開かれた「まつもと滝桜お花見会」の会場。桜の花びらが舞うのどかな里山に、陽炎の歌声が響いた。

 ♪これまで育ってくるために たくさん支えられて 社会で働いて初めて そのことに気付きました-。

 アンコールで最後に歌った曲は、昨年夏に作った新曲「この町で」。曲作りを担当する小澤さんは「町の人の温かさに育ててもらったんだと、社会に出て初めて気付いた感謝の気持ちを曲に込めた」という。

 陽炎は、町立中井中学校3年の総合学習の時間に、音楽に興味を持っていた同級生4人で結成。リードボーカルの野地さんは「初ライブは全校生徒の前だった」と振り返る。高校生になってからは、小澤さんと2人で保育園のクリスマス会や老人会の余興などで、ボランティアで歌い続けてきた。

 2人とも東京都内の別の大学へ進学したものの、「東京はせわしなくて、人と人の距離は近いけど、心が遠い。こっちは家と家の間の距離は遠いけど、人の真心が伝わる感じ」と野地さん。「東京には車で1時間。いつでも遊びに行ける。それより、子どもの頃に駆け回って遊んだ田舎ならではの自然がある町で生活したいと思った」と笑う。

 今、野地さんは町役場の総務課、小澤さんは地域防災課に勤めている。

 ♪この町には温かいものが たくさん待ってるから いつか出会えるぼくらの子どもに 見せてあげられたらいいな-。

 そう「この町で」を歌う2人にとって、町役場の仕事も、陽炎の活動も、「地域のために恩返し」という思いは共通。「いつか町内で、大勢の人が来て交流する、そんな音楽フェスをやってみたい」。町の活性化へ、歌い続けるつもりだ。

「この町で」を熱唱する陽炎の野地さん(左)と小澤さん=中井町松本

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