少子化の反転

 子どもの数が減り続けている。今さら言われずとも、昔と比べて子どもを見かける機会が少ないことを憂う大人は多いだろう▲本県の場合、0~14歳の人口は1980年に38万5千人だったのに対し、今年4月には17万1千人と半減。国立社会保障・人口問題研究所は2045年には10万8千人にまで落ち込むと予想する▲都市部の住民は、身近な小中学校の統廃合でその深刻さを実感しているかもしれない。だが、離島などの過疎地では、子どもの減少は数十年前から問題だった。複式学級、独りぼっちの入学式…。事態をずいぶん“先取り”していた▲ただ、過疎地の出生率は都市部に比べて高い傾向がある。県の統計によると、16年の合計特殊出生率は、対馬2・59、壱岐2・49、平戸2・32、上五島2・18で、人口維持に必要とされる2・07を上回る。県1・71、全国1・44という数値に比べると差は歴然▲「地方は都会より断然子育て環境に恵まれている」と書くのは、東京から高知の限界集落に移住したプロブロガーのイケダハヤトさん。子どもを見守る周囲の目が温かく、子連れのレジャーも快適。子育て世代の移住の決め手にもなりうる▲少子化に悩む世の中から、子どもの活気があふれる世の中へ。この反転を先取りするのが本県の過疎地だったら爽快だ。(泉)

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