ゲノム情報蓄積し研究、患者に合わせた治療推進へ 山形大医学部が体制構築

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 山形大医学部は、患者のゲノム(全遺伝情報)解析に基づくオーダーメード型治療の推進を目的に診療情報などを蓄積し、医学研究に役立てる資料バンキング体制を整える。未来の医療のために、入院時に患者の同意を得た上で血液や細胞組織などを保存し、患者に合わせた治療や先制医療による予防、創薬の開発に結び付ける。5月中旬にも付属病院(山形市)内での資料採取に着手する方針で、先駆的な取り組みとなる。

 ゲノム医療は世界的に注目を集める。米国では、当時のオバマ大統領が米国立衛生研究所のフランシス・コリンズ所長に命じて研究を進め、2015年には個人の体質に応じた次世代医療の実現に向け、100万人以上の米国人の遺伝子解析データを集める計画を発表した。

 米ミネソタ州の医療先進都市ロチェスター市を視察するため、山形新聞、山形放送が8大事業として昨年派遣した訪問団(主催者・寒河江浩二山形新聞社長、団長・嘉山孝正山形大医学部参与)が視察した総合病院メイヨークリニックでも現在、ゲノム医療に力を入れている。

 従来の医療では病気を診断し、その病気に応じた標準的な手術や投薬が施されてきたが、同じ疾患への治療でも患者の遺伝子の相違で、効果が異なることが指摘されている。山形大医学部は「ゲノム病院」を標ぼうし、付属病院で全診療科を挙げてゲノム解析に基づく治療に乗り出す考えだ。

 ゲノムに関する資料の蓄積に関しては、国内では国立がん研究センターが中心になり、7年ほど前から六つの国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)の機能を統合したゲノム・バンクが創設され、ゲノム医療に関する体制整備が進められてきた。厚生労働省はその後、全国にゲノム・バンクを創設する準備をし、今年2月にゲノム医療の中核拠点病院として、国立がん研究センター中央病院など11病院を選定した。このうち東北ブロックの中核病院は東北大で、山形大は連携病院として新潟大、福島医科大などと共に指定された。

 山形大は今回の指定以前から準備を進めており、全国の連携病院の中で最も早く体制を整え、医療情報のデータベース作成の体制整備を進めるという。約2万人の県民の協力を受けて、病気発症の遺伝的要素と生活習慣の関係を解明するコホート研究を30年近く前から進めており、医学部内にあるメディカルサイエンス推進研究所を拠点にゲノムコホートの研究にも力を入れる。これらによって血清や尿などの12万検体の生体試料を保管する検査部バンキングと、15万検体の病理試料を保管する病理部バンキングの体制を整える。

 さらに、疾患ゲノムの研究をコホート研究に還元しながら、新しい診断法や創薬の開発につなげる研究体制を構築する。研究成果を臨床に生かすため、ゲノム情報を活用した個別化医療、ゲノム医療の治療成果のモニタリングなどにも発展させる方針。

 5月中旬には付属病院内で患者に対して事業の方針を説明するための専用ブースを設け、看護師を配置する。患者の同意を得た場合は資料の採取を始め、ゲノム情報を随時、蓄積していく考えだ。

 山形大医学部の嘉山参与は、六つのナショナルセンターの機能を統合したゲノム・バンク創設に関わっており、「これからの医療はゲノムに基づいて行われる。県民に協力を得て、本県の医療の発展につなげていきたい」と強調している。

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