【MLB】イチロー、大谷翔平の打撃を語る 「雰囲気」「対応能力」「大きな才能」

マリナーズの会長付球団特別補佐に就任したイチロー【写真:Getty Images】

“御前試合”で2安打の活躍「なんかあるなって。そういう感じ」

 マリナーズの会長付球団特別補佐に就任したイチロー外野手が、エンゼルスの大谷翔平投手の打撃を絶賛した。大谷は4日(日本時間5日)の敵地マリナーズ戦に「5番・DH」でスタメン出場し、4打数2安打1四球1打点1得点と活躍。憧れ続けたイチローが数々の伝説を残してきたセーフコ・フィールドで、まずは打者として結果を残した。

 大谷は2回先頭での第1打席は右腕リークの前に空振り三振。しかし、4回無死一塁の第2打席では2ストライクから右腕リークの3球目の89マイル(約143キロ)のカットボールを捉え、鮮やかな中前打。さらに、5回2死一、二塁の第3打席では、カウント2-2から5球目の82マイル(約132キロ)のチェンジアップを左越えのタイムリー二塁打とした。

 試合後、21歳年下の大谷の打撃について聞かれたイチローは饒舌だった。

「雰囲気あります。やっぱり。あるじゃないですか。なんかあるなって。そういう感じ。野球やってる人間だったら感じるでしょうね」

イチローはなぜ大谷の「対応能力」に感心したのか

 特に、この日の2安打はともに追い込まれてから対応したことを高く評価。開幕直前に“すり足打法“を取り入れ、メジャーで見事に結果を残していることも含めて、その「対応能力」に感心した様子だった

「だから対応能力でしょうね。あのリークの球に全然合ってないように見えて、結局、最後の甘いところを仕留めるわけですからね。春からの、開幕してからもそうじゃないですか。あの何日間かで、そんな余裕あるとは思えないし。あの状況でね。それをずっとこうできる能力というのはなかなか持ってないですからね、人は。それは大きな才能ですよね。100マイル(約161キロ)投げるとか、誰よりも飛ばすとか、そういうことよりも実は大事な能力というかね。そういうふうに見えますけど」

 2本目のヒットとなった二塁打は、プホルスの通算3000安打が生まれ、球場全体がまだ落ち着かない中で飛び出した。ただ、これについては「そこはそうなることは想定済みだと思うからね。突然びっくりすることが起こったわけではないから、恐らくそこは想定内だから」と淡々。とはいえ、普通の23歳のルーキーにはなかなかできることではないはず。イチローが大谷に求める“当たり前”のレベルが高いことがわかる。

 以前から大谷の打撃を高く評価していたイチロー。その能力の高さを再確認したようだ。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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