【MLB】同年新人王で揃って達成はプホルス&イチローのみ 32人目3000安打の価値

エンゼルスのアルバート・プホルス(左)とマリナーズのイチロー【写真:Getty Images】

5日に通算3000安打を達成、32人のうち25人が殿堂入り

 大谷翔平のチームメート、エンゼルスのアルバート・プホルスは5月4日(日本時間5日)のマリナーズ戦で通算3000本安打に到達した。150年を超すMLBの歴史でもわずか32人しか達成していない大記録だ。

 現役ではイチロー(マリナーズ)、A・ベルトレ(レンジャーズ)に続く3人目。31人の偉大な打者の顔ぶれは以下の通り。なおMLBの公式記録と、代表的な記録サイトBaseball Referenceでは、19世紀に活躍したC・アンソンの安打数の解釈が異なっている。ここでは公式記録の数字を紹介する。※は現役。数字は現地5月4日時点。

1位 4256安打 P・ローズ(1963-1986)
2位 4191安打 T・カッブ(1905-1928)
3位 3771安打 H・アーロン(1954-1976)
4位 3630安打 S・ミュージアル(1941-1963)
5位 3514安打 T・スピーカー(1907-1928)
6位 3465安打 D・ジーター(1995-2014)
7位 3430安打 H・ワグナー(1897-1917)
8位 3419安打 C・ヤストレムスキー(1961-1983)
9位 3319安打 P・モリタ―(1978-1998)
10位 3313安打 E・コリンズ(1906-1930)
11位 3283安打 W・メイズ(1951-1973)
12位 3255安打 E・マレー(1977-1997)
13位 3252安打 N・ラジョイ(1896-1916)
14位 3184安打 C・リプケン(1981-2001)
15位 3154安打 G・ブレット(1973-1993)
16位 3152安打 P・ウェイイナー(1926-1945)
17位 3142安打 R・ヨーント(1974-1993)
18位 3141安打 T・グウィン(1982-2001)
19位 3115安打 A・ロドリゲス(1994-2016)
20位 3110安打 D・ウィンフィールド(1973-1995)
21位 3089安打 イチロー(2001-2018)※
22位 3081安打 C・アンソン(1876-1897)
23位 3075安打 A・ベルトレ(1998-2018)※
24位 3060安打 C・ビジオ(1988-2007)
25位 3055安打 R・ヘンダーソン(1979-2003)
26位 3053安打 R・カルー(1967-1985)
27位 3023安打 L・ブロック(1961-1979)
28位 3020安打 R・パルメイロ(1986-2005)
29位 3010安打 W・ボッグス(1982-1999)
30位 3007安打 A・ケーライン(1953-1974)
31位 3001安打 A・プホルス(2001-2018)※
32位 3000安打 R・クレメンテ(1955-1972)

 32人中、25人が殿堂入り。3人(イチロー、ベルトレ、プホルス)が現役。2人(ジーター、A・ロドリゲス)が殿堂入り年限に未達。殿堂入り資格があって殿堂入りしていないのは、野球賭博で永久追放となったP・ローズと禁止薬物使用疑惑があったRパルメイロの2人だけだ。

3000安打達成者で長打率1位、600本塁打も達成しているのは史上4人目

 プホルスはドミニカ共和国出身としては、A・ベルトレに続いて2人目の3000本安打。イチローとは、MLBデビューが同じ2001年だが、デビュー同期の選手が揃って3000本安打に達したのは、4例目となる。

1961年 C・ヤストレムスキー、R・ブロック
1973年 G・ブレット、D・ウィンフィールド
1982年 T・グウィン、Wボッグス
2001年 イチロー、A・プホルス

 しかし、デビュー年に新人王を獲得した選手が、揃って3000本をクリアしたのはイチロー、プホルスのペアだけだ。

 プホルスは史上4人目の3000本安打-600本塁打も達成している。

H・アーロン 3771安打 755本塁打
A・ロドリゲス 3115安打 696本塁打
W・メイズ 3283安打 660本塁打
A・プホルス 3001安打 620本塁打

 また、3000本安打以上の打者では長打率は1位だ。

3000本安打の長打率5傑

1位 A・プホルス .560
2位 S・ミュージアル .559
3位 W・メイズ .557
4位 H・アーロン .555
5位 A・ロドリゲス .550

 ただし、プホルスとミュージアル、メイズとの差は僅差なので、今後1位の座を維持できるかどうかは微妙なところだ。ちなみに、3000本安打達成者で最も長打率が低いのは.402のイチロー。この数字はスモールボールの代表選手イチローにとっては一概に不名誉とは言えないだろう。

 現役でイチロー、ベルトレ、プホルスに次ぐのはミゲル・カブレラ(タイガース)の2666安打。カブレラは現役唯一の三冠王だが、昨年は.249と打率が急落した。しかし、今季は現時点で打率.323と好調。まだ35歳であり、2~3年後には大台突破の可能性がある。

 しかし、それ以下は、R・カノ(マリナーズ、2409安打。35歳)、J・レイエス(メッツ、2100安打、35歳)、N・マーケイキス(ブレーブス、2093安打、34歳)であり、カブレラの後は不透明な状況だ。

 プホルスもイチローも殿堂入り年限に到達すれば、即、殿堂入りが確実視される。大谷翔平は歴史的な偉業達成を目の当たりにしたことを喜んでいたが、こういう形で球史は継承されていく。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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