西武山川&多和田が圧巻の数字 セイバー目線で選出する3、4月のパ月間MVP

西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

月間MVPは9日に発表、セイバーメトリクスの指標を基に選出すると…

「山賊打線」が牽引してパ・リーグ首位を走る西武、それ以上のチーム打率を記録した巨人の攻撃陣の猛攻ぶりが目立った3、4月のNPB。月間MVPは5月9日に発表されます。

 月間MVPの選出基準は、基本はNPB公式記録が用いられます。ただ、セイバーメトリクス的にどれだけ個人の選手がチームに貢献したかを示す指標で選べば、公式のMVPとは異なる選手が選ばれることもあるでしょう。

 そこで、セイバーメトリクスの指標によって3、4月の月間MVP選出を試みます。

◯3、4月月間MVP パ・リーグ打者部門
山川穂高(埼玉西武ライオンズ)
OPS 1.312 wOBA 0.540 RC27 14.82 長打率0.831(すべてリーグ1位)
出塁率0.481 (リーグ2位)

 候補選手は8人ですが、その中でも有力な候補の成績はこちらです。

山川穂高(西武)
打率.337 24試28安11本33点 得点圏打率.560

近藤健介(日本ハム)
打率.392 23試31安0本10点 得点圏打率.455

柳田悠岐(ソフトバンク)
打率.353 23試30安5本19点 得点圏打率.391

 月間本塁打11、打点33、そして得点圏打率が驚異の5割6分と、すべての指標において申し分のない数字を残している山川が順当に月間MVPに選出されることでしょう。そして、その驚異はセイバーメトリクスの指標にも現れています。

セイバーメトリクスの指標で見ても圧倒的な山川の活躍

山川
OPS 1.312 出塁率.481 長打率.831 wOBA .540 RC27 14.82

近藤
OPS 1.077 出塁率.520 長打率.557 wOBA .462 RC27 11.65

柳田
OPS 1.075 出塁率.440 長打率.635 wOBA .454 RC27 11.53

 山川の月間OPSは、昨年7月から「1」超えをキープしているのです。その勢いはシーズンをまたいでも衰えず、とうとう「1.3」の領域にまで達しました。

 気の早い話ですが、シーズンOPSの最高記録は1974年の王貞治で1.293。この年の王は安打128(本塁打49)、四球158(うち敬遠45)と安打よりも四球での出塁が多いシーズンでした。王との勝負を避ければなんとかなるという相手チームの戦略もあったのでしょうが、今季の西武は「山賊の首領(どん)」こと山川を避けても森友哉や外崎修汰が待ち構えているわけで、むべに四球で歩かせるわけにもいかないでしょう。そういった意味では山川が四球禍にあう可能性は低いとみられます。

 山川がこのペースを維持することができれば、あらゆるシーズン記録の更新も夢ではないのですが、逆に考えれば、このペースをシーズンを通じて維持した王貞治の偉大さを改めて感じざるを得ません。

投手部門は西武の2人が一騎打ちも…多和田と菊池の違いは?

◯3、4月月間MVP パ・リーグ投手部門
多和田真三郎(埼玉西武ライオンズ)
登板5 5勝0敗  
FIP 2.80 QS率 100%(リーグ1位)
WHIP 0.86 (リーグ2位)
防御率2.06 被打率0.194(リーグ3位)

 候補選手は7人。その中でも有力なのはこちら。

多和田真三郎(西武)
防御率1.86 5勝0敗 奪三振率5.66 被打率.194

菊池雄星(西武)
防御率3.34 5勝0敗 奪三振率9.00 被打率.171

 月間5勝を挙げた多和田と菊池の一騎打ちの様相を呈しています。なお、両者が登板した際の打線による援護率は多和田9.25、菊池8.03と大量の援護をもらっていることがわかります。防御率の差によって月間MVPは多和田に贈られるものと予想します。

 ではセイバーメトリクスでの評価はどうでしょうか。

多和田
FIP 2.80 被本塁打1 WHIP 0.86 QS率100% K/BB 3.67

菊池
FIP 3.34 被本塁打4 WHIP 0.83 QS率60% K/BB 4.38

 奪三振は圧倒的に菊池が多いのですが、被本塁打が多和田1に対し、菊池が4。この差が大きくFIPに響きました。またQS(クオリティースタート、6回以上を投げて自責3以内)でも多和田が5試合すべてで達成しています。ちなみに、今年から沢村賞の選考の補足項目に沢村賞式QSが導入されることになりました。沢村賞式QSは7イニング以上投げて自責点3以内で記録されます。この沢村賞式QSで見ても、多和田3回、菊池2回ですので、多和田に軍配が上がります。

 シーズン前の評価では、投手陣に対しての評価が低かった西武ですが、蓋を開けてみると先発投手陣のチームQS率は70.83%とリーグ1位の安定感を示しています。強力打撃陣が早々に先制点をもたらしてくれることによる安心感も影響していることでしょう。ただ5月に入って投手陣、特に先発投手陣の不調が見受けられます。5月以降の打撃陣と投手陣の噛み合わせに注目です。

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2