鉄鋼輸入、トルコもSG調査

 米国政府による鉄鋼などの輸入規制措置「通商拡大法232条」が各地で対抗措置を引き起こしている。欧州連合(EU)に続き、4月下旬にはトルコ政府も鉄鋼輸入に対しセーフガード調査(緊急輸入制限措置=SG)調査を開始すると公示した。発動されれば鉄鋼貿易にさらなる打撃が及びそうだ。

 トルコの鉄鋼輸入は2017年実績で1770万トン。特に国内生産が不足している鋼板類が900万トンを占め、条鋼類は140万トンにとどまる。

 トルコ政府はスラブなど普通鋼の半製品、および欧州からの輸入を除く幅広い品種をSGの調査対象としており、仮に発動されれば日本からトルコへ輸出されている熱延コイルやブリキ、電磁鋼板などにも影響が及ぶ可能性がある。

 米は「232条」で鉄鋼輸入を年間1300万トンほど減らすとしており、これが還流しかねないと見て先月にEUやコスタリカではSG調査が行われていた。EUがSGを発動すれば米国以上に輸入鋼材が締め出される可能性もあり、この還流を懸念したトルコにも「飛び火」した格好だ。

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