プロを夢見る選手をタイの地でサポートする元Jリーガがいるのを知っているだろうか

今回は4年前に現在急成長中のタイリーグでプレーしていた元C大阪の多田大介氏にタイリーグ挑戦から現在行なっている選手サポート活動についてお話ししていただきました。インタビュアーとコラムの執筆はモンゴル1部リーグで活躍中の日高裕貴選手です。

経歴

多田大介(ただ だいすけ)

岡山県出身の元プロサッカー選手

高校卒業と同時にC大阪に入団し、愛媛FC、大宮アルディージャ、ガイナーレ鳥取、FC岐阜でプレー。

その後は、指導者兼任でシラチャFCへ移籍し、翌年に現役を引退。

現在は、「シリエサッカークラブ」でスクール事業、プロを目指す選手へのサポートを行っている。

“口約束”の恐ろしさを感じた初の海外挑戦

「10月にタイのクラブからオファーが届きました。しかし当時まだJリーグがシーズン中であったため、終了後の12月にタイへ渡航し契約する旨を伝えました」。

チームから承諾を貰った多田氏は、約束の12月にタイへと渡り契約を交わすハズだった.....

 「12月にタイのチームを訪れると既に他の選手と契約が完了している状況で契約を交わすことが出来ず、”口約束”の怖さを実感した瞬間でした」。

 その後は2ヵ月タイへ滞在し他のチームのテストを受けたがチームはなかなか決まらない日々が続いたという。

 「チームが決まらず、VISAの関係等もあり、日本に帰国する決断、そしてプロとしてキャリアを諦める決断もしなければならなかった」。

その年、多田氏はタイでプレーする事が出来ず、日本に帰国し翌年にシラチャFC(タイ2部リーグ)で指導者兼任としてプレーすることになった。

”無い環境”の中で戦わなければならいタイリーグ

今でこそタイリーグは成長を遂げサッカー環境が整ってきているが、当時のタイリーグはサッカーに対する環境が整っていなかったという。

 「雑草が生えたままの芝生で練習する事も多々ありましたし、ボールの空気圧等の管理も選手が行っていました。また、チームから年間スケジュールが出ずに、いつ、どこで、どのチームと試合をするのかさえ、アナウンスされることはありませんでした」。おそらくJリーグの場合はスタッフがボールの管理、芝生のメンテナンスを基本的に行うが、当時のタイリーグはGKコーチやホペイロが居るチームが非常に少なく選手が管理しなければならなかったという。

 「Jリーグでは、ある程度環境が整った中で評価をされると思いますが、タイの場合は”無い環境”の中で結果を求められるので、どのようにコンディションを高めることが出来るのか常に考えていました。食事の面も、常に食べる事の出来る食材の中でやりくりする必要がありました。」

 「言葉の問題や文化の違いから、練習後や試合後にチームメートと口論になる事も日常茶飯事だったり、チームのオーガナイズの悪さなどは難しさとして感じましたが、結果的にタイリーグに挑戦した事により神経は図太くなったと思います(笑)」

 翌年に多田氏はスパイクを脱ぎ、タイの地でプロサッカー選手として現役を引退した。

サッカースクールを立ち上げ、海外でプロを目指す選手をサポート!?

選手を引退すると同時に「シリエサッカークラブ」を本格的にスタートさせ、日系企業の子供達を中心にタイでサッカーを指導している。

 「自身の経験から、現役の選手が子どもたちと直接触れ合う事で、子供達に夢を持つこと、努力する事の大切さを身近に感じてもらえるのではないのか!?」そう考えた多田氏は、プロを目指してタイへ挑戦する選手の受け入れをスタートさせた。

 「選手には食事や住居の提供でライフラインのサポート、コンディショニング維持の場を用意しています。」初めて海外に挑戦する選手にとって現地の食事、環境、セレクション情報等のオーガナイズの悪さなど、トライアル中のストレスになる事は間違いないだろう。そういったストレスを少しでも軽減させ「自分と同じような思いをさせたくない」と多田氏は自身のタイへの経験から選手をサポートするようになり、現在までに4名のプロサッカー選手を輩出させている。

 「タイに挑戦する選手と、子どもたちが交流出来る場所を作る事は、選手にとっても、子どもたちにとっても大きなメリットがあり、また僕にしか出来ないクラブの形だとも感じています」

サポートをより充実させる為にクラウドファンディングに挑戦中

多田さんは、現在CAMPFIREというサイトを通じて選手サポートの充実を目的にクラウドファンディングに挑戦している。

 

「海外へ挑戦する事は簡単な事ではないと思いますし、他に選択肢がない選手も多いと思います。自身の経験も踏まえて、当時の僕に必要だと感じたものを出来る限り現地でサポートさせていただければと思います。」

 夢を掴みたい選手は、シリエでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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