スティング&シャギー『44/876』 2人を結びつけたレゲエの新しいカタチ

スティング&シャギー『44/876』

 ロック界のスーパースター、スティングとジャマイカ生まれのレゲエ・アーティスト、シャギーのコラボレーション・アルバムです。CDの帯には“ロックとレゲエのエナジーが融合”とありますがスティングの音楽のルーツはポリスでの「ロクサーヌ」や「キャント・スタンド・ルージング・ユー」、さらにスティングでの「イングリッシュ・マン・イン・ニューヨーク」でも判るようにレゲエでした。ジャズのベーシストであったスティングにとって裏のリズムを取るレゲエは当時最も興味深い音楽だったのです。

 本アルバムの魅力は2つの音楽の融合というより、レゲエをより現代に相応しいスタイルにしたところにあると思います。シャギーがスティングにアルバムでのゲスト参加を依頼するためデモを渡したところ、シャギーの歌に呼応した内容の歌で答えたスティング。そのスタイルに意気投合した2人がフルアルバムを制作したのです。友人の会話のような歌からは生命力に満ちたメッセージが広がります。

(ユニバーサル・2600円+税)=北澤孝

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