ポルトガル・ザ・マン『ウッドストック』 1960年代のスピリッツを今日に反映

ポルトガル・ザ・マン『ウッドストック』

 今年の第60回グラミー賞で「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス」賞を獲得したジョン・ガーリー(ヴォーカル)を中心とした4人組のオルタナティヴ・ロック・グループ8枚目の新アルバムです。

 2004年、アラスカからオレゴン州ポートランドに移り06年にデビュー。それまで無名だった彼らを一躍グラミー・アーティストに仕立て上げたのは受賞曲の「フィール・イット・スティル」。「アンチェイン・マイ・ハート」や「プリーズ・ミスター・ポストマン」にインスパイアされたキャッチーなサウンドが話題となり全米6位、全英4位の大ヒットとなったのです。

 ヒットの理由はサウンドだけでなく、ウッドストック時代のロックの意義を父親から聞いたジョンが、その精神を現代に反映させた歌詞にもありました。「フィール・イット~」では“僕は前進するため反発している、66年からこんな気持だ”。「ナンバー・ワン」では黒人霊歌の「時には母のない子のように」を引用、変わらない社会を批判しています。

(ワーナーミュージック・1980円+税)=北澤孝

© 一般社団法人共同通信社