対馬の野鳥225種 写真で紹介 川口さんと前田さん 図鑑出版

 長崎県対馬市在住の野生動物写真家、川口誠さん(44)と、市職員の前田剛さん(38)がこのほど、対馬で見られる野鳥についてまとめた図鑑「対馬の鳥と自然」を出版した。風に乗って迷い込んできた迷鳥を含め、225種を鮮やかな生態写真などで紹介している。
 朝鮮半島と本土の間に位置する対馬は、渡り鳥の中継地となっており、日本の鳥類633種のうち、383種が確認されている。中には本土でほとんど見られない鳥もいて、多くの愛好家が来島している。
 図鑑は愛好家だけでなく、地元住民にも対馬の野鳥に関心を持ってもらおうと川口さん、前田さんが編集。川口さんが10年以上にわたって撮りためた写真を使い、鳴き声やよく見られる生息地の特徴などについて解説している。
 東南アジアから対馬に飛来するカワセミ科の「ヤマショウビン」はコバルトブルーの背中や赤いくちばしが人気で、さまざまなカットを掲載。国内では数例しか観察記録がないカッコウ科の迷鳥「バンケン」も羽毛の一枚一枚までピントが合った写真を載せている。
 川口さんは「ヤマショウビンは愛鳥週間(10~16日)から月末にかけて河川や田畑などで見られる。対馬で野生の躍動感を味わって」、前田さんは「名前を知るとさらに愛着がわくはず。観察時には近隣住民にも気を配り、めでてほしい」と話している。
 図鑑はA5判、192ページ。1冊1600円(税抜き)。長崎新聞出版室刊。

「対馬の鳥と自然」を出版した前田さん(左)と川口さん。川口さんが開いているのは、ヤマショウビンの解説ページ=対馬市役所

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