米の核合意離脱 被爆者ら「納得いかない」 半島非核化へ影響懸念

 トランプ米大統領がイラン核合意からの離脱を表明したのを受け、県内の識者や被爆者は9日、「外交の信頼をなくす」「納得いかない」などと批判、朝鮮半島非核化協議の進展が期待される今後の米朝首脳会談への悪影響も懸念した。
 長崎大核兵器廃絶研究センター(レクナ)の鈴木達治郎センター長は、外交努力の成果である核合意からの離脱で「米国は外交面で信頼をなくし、米朝会談でも北朝鮮が信用しなくなる恐れがある。最悪の決定」と批判した。トランプ氏は代替策を探る考えだが「離脱前に策を示すべき」と指摘、中東情勢の不安定化と核拡散への懸念も示した。
 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の事務局長で、長崎で被爆した木戸季市氏(78)は「核廃絶へ少しでも対話と合意を重ねることが大切なのに、思い付きのように離脱するのは納得いかない」と語った。
 県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(78)は「また世界が不安定になる。米朝首脳会談もうまくいくのだろうか」と不安を示した。

© 株式会社長崎新聞社