【列島縦断(関西)各地の話題-北から南から】〈片木威氏(片木アルミニューム製作所社長)〉助けられた命

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 アルミニウム圧延メーカー、片木アルミニューム製作所(本社・大阪府泉南市)の片木威社長は堂々たる体躯で、20年間、毎年6月に大峰山で修行するなど行動派で知られる。片木社長は、23年前の阪神・淡路大震災が生き方を変えたと話す。

 「当時、神戸市東灘区にある神戸商船大学に勤務していて芦屋のマンションから通勤していた。16日はセンター試験で大学にいたが、父の病状悪化の知らせを母から受け、3時間かけて和歌山県立医大の病室に駆け付けた」

 医師は心筋梗塞の再発でこの1週間が山場と説明。一旦芦屋に戻り、あす(17日)に大学に行き休暇を申請するつもりだった。ただ、母親の「夜遅いし、凍えるように寒い。あすの朝一番で帰るよう…」との説得を受け泉南市の実家に泊まった。

 1月17日明け方、淡路島を震源地とする大地震が発生。テレビや新聞などが甚大な被害状況を伝える。阪急電車が梅田から西宮北口まで通じたのは震災から3日目だった。

 「西宮北口から芦屋までは徒歩で向かった。マンションは軽度な被災に見えたが、2階付近が座屈。私の住戸はドアが曲がって入れなかった。梯子をかけて覗き込めば、寝室は瓦礫の山。ここで寝ていたら瓦礫の直撃で死んでいたと思い、悪寒がした。父はその年の12月に帰らぬ人に…。以前はただ漠然と生きているだけだったが、この経験以降は、『助けられた命』をどう生かすかを考えながら生きるよう心掛けている」と言う。