金属行人(5月10日付)

 鋼材二次流通・加工業の地域団体が、周年記念事業の一環で鉄や金属に関連するモノづくり現場の視察や被災地慰問などをコンセプトに旅行を企画し、旅行会社にツアー設計を依頼した時の話▼いつもの依頼先に今回も最初に声を掛けたが、いつまでたっても返答なし。業を煮やして再び確認したところ、窓口担当者が自身の繁忙を理由に後回しにしていた▼「だったら他社に切り換える」と通告したら「次回また機会があればぜひ」との返答。あまりの熱意のなさにあきれた一同。実は以前も担当者のレスポンスの悪さや作業の不手際などがあり、いら立ちと心証の悪さは募っていたらしい▼別の旅行会社に相談したところ話はとんとん拍子に進み、豊富な情報量やネットワーク、経験から魅力的な提案も数多く出され、当初の想定を超える有意義な記念事業になること間違いなしと企画当事者も太鼓判を押す。今後の旅行会社選択先が切り替わった瞬間でもあった▼レスポンスの良さ、期待以上の提案そして何よりもホスピタリティーを感じる「プロの応対」が、人の心を動かす。言い換えれば誠意と信頼・信用である。これこそ商売の基本であり、顧客サービスの原点。鋼材加工流通ビジネスにも共通するのではないか。

© 株式会社鉄鋼新聞社