日立金属、マルチマテリアル化の研究開発開始 車部品の軽量化ニーズに対応

 日立金属は9日、自動車部品の軽量化ニーズ拡大に対応するため、異素材同士を接合するマルチマテリアル化の研究開発を開始したと発表した。素形材カンパニーの素材研究所(栃木県真岡市)にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)用の成形装置を導入し、CFRP成形品やマルチマテリアル部品の試作を開始した。2025年以降の製品化を目指し、アルミホイールではCFRPとアルミの複合化により20%以上の軽量化を開発目標とする。

 日立金属グループは鉄鋳物の世界最大手でアルミホイールでも大手。ニアネットシェイプ成形法やCAE解析による設計技術向上により、砂型鋳造やダイカスト部材の軽量化技術を追求している。新たにCFRPをアイテムに加え、各素材の長所を生かす最適な配置で異素材同士を接合するマルチマテリアル化の研究を開始した。

 素材研究所とグローバル技術革新センターが中核となる。主な研究課題は「適材適所に材料を配置するための構造設計」、「複合材の成形技術」、「異素材の接合技術」、「品質保証技術」。ダクタイル鋳鉄やアルミダイカストが使われる自動車用足回り部品や産業ロボット用部品などの市場ニーズの動向次第で、マルチマテリアル部品も供給できる体制を整える。

 「人とくるまのテクノロジー展」(23~25日、パシフィコ横浜)に試作品を出展する。

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