父として背中を見せるために 陸上走り高跳び・鈴木徹選手

日本パラ走り高跳びのパイオニア・鈴木徹選手。日本初の義足プロアスリートとして、2006年には世界で2人しかいない2mジャンパーとなった。

しかし、世界の舞台でのメダルにはいつも一歩届かず、入賞止まり。実に5回目のパラリンピック出場となった2016年リオデジャネイロでも4位でメダルを逃し、挫折を味わった。

「自己ベストを出せばメダルは取れた。自分でゾーンに入ろうとして本来のジャンプができなかった」

大会が終わって1週間が経っても、リオの試合時間にあたる夜になると悔しさを思い出し、涙があふれたという。

 このまま終わるわけにはいかない。その陰には、2人の息子の存在があった。部活動でバスケットを頑張る彼ら小学生に、諦める父の姿を見せるわけにはいかなかった。

翌年の世界選手権。リオの反省から自分を追い込まず、1本目から観客に拍手を求めた。すると、世界大会で初めて2mの大台をクリア。見事、初の銅メダルに輝いた。

今回は「エネルギーをくれる存在」という2人の息子との癒しのひとときに密着。40歳となる2020年東京パラリンピックでは「息子の前で表彰台に上がって、お父さんはできるってところを見せたい」と誓っている。

 


 

鈴木徹選手 (陸上 走り高跳び)

鈴木徹(すずき・とおる)

 1980年5月4日山梨県生まれ 37歳 SMBC日興証券所属。高校時代、ハンドボールで国体3位という成績を残したが、卒業前に交通事故により右脚を切断。リハビリがきっかけで、走り高跳びを始める。

2000年シドニーパラリンピックからアテネ、北京、ロンドン、リオと5大会連続入賞。2017年世界選手権で2m01を跳び、世界大会で初となる銅メダルを獲得した。

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