離島便ジェットフォイル4隻 運航30年、老朽化懸念 長崎県が購入費補助を国に要望

 長崎県内の離島と本土を結ぶ高速船ジェットフォイル4隻はいずれも進水から約30年経過し、老朽化が懸念されている。県はジェットフォイルの新規購入費用は1隻約50億円とみており、国に船体更新のための補助制度創設を求めている。
 世界で唯一ジェットフォイルを建造している川崎重工業(神戸市)は「メンテナンスすれば長持ちするが、一般的に船齢30年以上が更新の目安」とする。伊豆諸島でジェットフォイルを運航する東海汽船(東京都)は昨年、進水から36年たった船の更新を決めた。
 現在県内で就航しているジェットフォイルは、長崎-五島便を運航する九州商船の2隻と、博多-壱岐-対馬便を運航する九州郵船の2隻。いずれも進水から27~33年がたっている。両社の担当者によると現時点で船体が故障するなどの問題は起きていないという。ただ、船の更新費用については両社とも「高額で苦しい」と語る。
 購入費は運航会社が受注先に支払う。購入費のうち、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が45%を有利子で、県が45%を運航会社に無利子で貸し付ける制度はあるが、県新幹線・総合交通対策課は「最終的な返済には30年がかかる。県も財政的な余裕がなく、制度の運用が難しい」と打ち明ける。
 こうした状況からジェットフォイルの更新問題に県は危機感を持っており、国に補助制度創立について昨年、一昨年と要望している。これに対し、国土交通省は「緊急度の高い案件に限られた予算を使う中で、補助制度の創設まで手が届かないのが現状」と話す。
 県は本年度、東京都などジェットフォイルが就航している4都県と情報交換し、具体的な補助要望額を検討する。6月には国に補助制度創立の要望書を提出する予定。

長崎港に停泊するジェットフォイル。進水から28年が経過する=長崎市元船町

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