登録へ機運高める 長崎でシンポ、500人参加 潜伏キリシタン遺産 世界遺産へ

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が世界文化遺産登録を勧告した「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の「世界遺産登録を願うシンポジウム」が12日、長崎市内で開かれた。研究成果や住民の意見が発表され、登録に向けて機運を高めた。
 学識者らでつくる「禁教期のキリシタン研究会」と十八銀行が主催。約500人が参加し、会場はほぼ満席となった。
 内田洋一日本経済新聞文化部編集委員は基調講演で、「潜伏キリシタンの信仰が世界遺産になれば、黙殺されてきた人々の精神世界が初めて世界的に評価される」と指摘した。
 研究会の柿森和年世話人は、五島・奈留島に伝わる絹に書かれたオラショ(祈り)の研究成果を発表。オラショに出てくる「赤崎六兵衛」の墓を熊本県天草市大江で発見したと報告し、「オラショは長崎と五島、天草のつながりを証明している」と述べた。
 「世界遺産を見据えてのまちづくり」がテーマのパネル討論では、住民らが意見発表。元天草町長で旅館経営の平石水穂さんが「過疎化が進む地域に若者が戻り、元気になる仕掛けを行政、企業と一体になって進めたい」と話した。長崎市外海地区の地域活性化グループ代表、日宇スギノさんも「地元の農産物を食べてもらう体験などの取り組みを進めていく」と世界遺産を生かした活性化に意欲を示した。

「世界遺産を見据えてのまちづくり」と題し話し合う関係者ら=長崎市茂里町、長崎ブリックホール

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