東海道新幹線も近鉄名阪特急も、熱々をひとつふたつ

鉄道チャンネルプロデューサーから、「大阪出張の帰りはここよく寄るよ」とLINEで教えてもらったのが、串かつの店。

梅田地下街 ホワイティうめだに梅田本店を構える、串かつの老舗。「マジか! 帰りは名阪特急だしなー」と思ってスマホをスラスラしてみると、「あるじゃん! 難波ミナミ店!!」。

名阪特急の座席をスマホで予約し、出発時間を決め打ち。「あれっ、30分ぐらいしかないよ! 早く行こっ」「やばいじゃん!」ってことで、難波ミナミ店へ。

「とりあえず瓶ビール、グラス2つ」「それから、どうする? 盛り合わせでいい?」「盛り合わせひとつ!」

瓶ビールがドン。キャベツをひとつ、ふたつ。と、こわもての兄さんが、揚げたての串かつ5番手を持ってきた。

「牛、えび、青と、きす、れんこん、ね」

全国展開するチェーン店の串かつ店と違って、すべての役者が立っている。

衣は、それぞれ違って、粗挽きのパン粉のまぶし方も違う。青とはパン粉がなくて、フリッターのようなふわふわカリカリの衣装をまとう。

「どれもうめえなー」「青とは辛くないんだね」

ビールが笑えるぐらいすすむ。そこで……。

「とり2本!」チューリップ咲かせちゃえ!

鳥の手羽をチューリップ状にしたのを、青とと同じフリッター状でサッと揚げる。

「骨を触るとまだ熱いので気をつけて」といわれて、「はいっ」とうなずきながらも、焦る気持ちをおさえきれず、触ってしまう。「あっちっ!」。

これがまた、うまい。うまい。うまい。フリッターの衣をくるっと半周させてくるんだと思わせるディティールも、いい。

熱い役者たちの味わいの余韻にひたっていると、「あれっ? もう時間だよ!」「うわっマジか!」ってことで、残ビーを飲み干して、「ごちそうさまでしたっ」。

(あれ!? チューリップの右に並ぶ役者は誰だっけ?)

お釣りをもらって、改札へ走る。あわてて乗った、名阪特急の顛末は、またこんど―――。

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