「デイリーNK記者、北朝鮮で拘束」家族ら会見…中朝国境で拉致か

北朝鮮で拘束されていると見られる韓国メディア記者の解放を求める記者会見が11日、ソウルの韓国国会議事堂内で行われた。

記者は元脱北者で、2011年から韓国デイリーNKの北朝鮮専門記者として活動していたチェ・ソンミン氏(仮名)。デイリーNK・国民統一放送のイ・グァンベク代表が会見で説明したところによると、チェ氏は昨年5月末、北朝鮮内部情報を入手するため中国延辺朝鮮族自治州の中朝国境地帯を訪れた際、北朝鮮の国家保衛省の要員に拉致されたと見られる。

チェ氏はかつて北朝鮮の工作機関に所属し、日本人拉致に加担した過去について証言していた。脱北後も北朝鮮国内の要員とつながりを維持し、情報提供などを受けていたとされるが、そうした人脈を逆利用され罠にはまった可能性がある。

イ氏によれば、チェ氏は国境近くまで同行した朝鮮族のタクシー運転手と別れた後、連絡が途絶えた。付近の住民から、北朝鮮から国境を越えてきたと思しき男2人と格闘の末、北朝鮮に連れ去られたとの証言を得たという。

韓国政府は、北朝鮮には現在、2013~2014年に中国・丹東で脱北者への支援活動をして拘束された宣教師3人と、2016年に拘束された元脱北者3人の計6人の韓国人が抑留されているとしている。この中に、チェ氏は含まれていない。

会見に参加した野党・正しい未来党の河泰慶(ハ・テギョン)議員は、「北朝鮮に抑留されている国民は6人ではなく、(チェ氏を含め)7人だ」と指摘。チェ氏の妻は、「(北朝鮮で)あらゆる苦痛に苛まれているかもしれない夫とほかの人々を、どうか助けてほしい」と文在寅大統領に訴えた。

チェ氏の家族は今年2月、担当の刑事を通じて韓国の国家情報院にチェ氏の所在確認をしたところ、「北朝鮮にいるようだ」との説明を受けたという。

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