明賀普電工会長「原油高で電力コスト上昇に懸念」

 普通鋼電炉工業会(会長・明賀孝仁合同製鉄社長)は14日、会長・副会長会議を開催し、明賀会長が製造コストを取り巻く環境について「電極や耐火物、輸送費が上昇一色なことに加え、原油価格の値上がりによって電力コストの上昇も大きな懸念材料となっている」と危機感を表明した。現在1バレル=約70ドルの原油価格は「2年前は同40ドル割れだった」と指摘。電力の基本料金が値上がりする中で「当時の原油安は燃料費調整制度を通じた〝激変緩和〟につながっていた。今後も原油が上がり続けるか不明だが、原子力発電所の多くが停止している現状では、原油の値上がりは電力コストへの影響が従来以上に大きくなる」と強い懸念を示した。

 3月の鉄筋用小棒の国内向け出荷量は69万トンと前年同月比1・8%増だった。直近2年間で最も高い水準だったが「3月は期末で出荷が増える傾向があるのでは」とした。3月末の在庫率は75・9%と前月末比15・4ポイント低下。出荷見合いの生産で「良い水準になった」とコメントした。

17年度の国内鉄筋用小棒出荷/4年ぶり増、763万トン/RC造の構成比低下に懸念も

 普電工によると、17年度の鉄筋用小棒の国内向け出荷量は762万7千トンで前期比1・7%増となった。前期比プラスは4年ぶり。RC造の建築着工面積は17年度が2283万平方メートルで前期比6%減だったが、前期比プラスだった16年度の着工が17年度の鉄筋出荷に反映されたもよう。なお、昨年7月に普電工が予測した17年度出荷量は765万4千トンで、ほぼ同水準だった。

 明賀会長は17年度のRC造着工面積は「1963年度の2170万平方メートル以来の低水準だった」と指摘。RC造の主力だったホテルなど宿泊施設や学校、病院といった用途でもS造化が進んでいるとして、RC造の構成比低下に懸念を示した。

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