インド洋に消えたマレーシア航空機事故、機長自殺説有力に

©株式会社全国新聞ネット

太田清

47NEWS編集長

太田清

47NEWS編集長

共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

太田清の記事一覧を見る
マレーシア航空機に搭乗していたザハリエ・シャー機長(右)と友人=2013年5月(共同)

 乗客乗員239人を乗せ、2014年3月8日に北京に向けクアラルンプール国際空港を出発したマレーシア航空370便が消息を絶ち、その後インド洋で残骸が見つかった事故は史上最大規模の捜索にもかかわらず4年以上たつ今も、なおブラックボックスを含む機体の大半が見つかっておらず事故原因は謎に包まれたままだ。370便が飛行中、なぜ自ら通信装置を切ったのかや北京とは逆方向のインド洋に向けて飛行を続けた理由も分かっていない。こうした中、オーストラリアの「ナイン・ニュース」テレビは16日までに、政府の元運輸安全局長やベテランパイロット、元航空機事故調査官らを集めて事故原因を探る特集番組を制作、原因として機長が自殺を図った説が有力だと報じた。

 元航空機事故調査官のラリー・バンス氏はマレーシア人のザハリエ・シャー機長=当時(53)=について「乗客乗員全員を道連れに自殺した」と断言。機長が飛行中、機内を減圧し、自らは酸素マスクを装着する一方で乗客乗員の意識を失わせていた可能性もあると指摘した。

 370便と同じボーイング777のベテランパイロットで教官でもあるサイモン・ハーディー氏は機長がレーダーに探知されるのを「故意かつ巧みな手法で」避けたかのような動きを見せていたと指摘。マレーシアとタイの国境沿いをジグザグに飛行することで、両国の軍レーダー網から探知されないよう飛行したという。結果として両軍とも不審機の存在に気付かず370便をインターセプト(迎撃)するため戦闘機を発進させることもなかった。

 また、370便はマレー半島西方のペナンに向け不可解な方向転換をしていたが、ハーディー氏はペナンが機長の出身地であることから「最後のサヨナラ」を告げるためにペナン上空を飛んだと推測。ハーディー氏自身もオーストラリアのウルル(エアーズロック)付近を飛行した際に、乗客に見てもらうため、管制官の許可を得たうえで飛行ルートを少し変更したことが何回かあったという。

 番組に出演した専門家は、事故原因が機長の自殺である可能性が高いということで一致したが、機長が海面に370便を墜落させたのか、オートパイロットに切り替え減圧により自殺した上で燃料が尽きるまで飛行を続けたのかについては意見が分かれた。この分析は、機体発見の手がかりともなる墜落地点の推定につながる。

 一方、今回の出演者は航空機に関する専門家が中心で、機長の自殺の具体的な動機などについては詳しく触れていない。

 370便の乗客の大半は中国人とマレーシア人で、マレーシア政府は機体の大半が見つからないまま乗客乗員全員が死亡したと発表。インド洋の広い範囲で捜索が行われ海底調査もされたが事故から3年近くたった2017年1月、マレーシアとオーストラリア、中国3カ国による捜索が終了した。 (共同通信=太田清)