麻疹ワクチン 2回接種で確実な免疫

 非常に感染力の強いウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症、麻疹(はしか)。肺炎や脳炎を合併し、死亡する場合もありますが、最も有効な予防法はワクチン接種です。県予防接種センター担当医の柳井雅明・熊本地域医療センター小児科部長に聞きました。(高本文明)

 -麻疹に対する免疫について教えてください。

 「麻疹は感染力が非常に強く、空気感染もしますので、手洗いやマスクでは予防できません。このため麻疹もしくはMR(麻疹風疹混合)ワクチンの予防接種が最も有効な予防法です。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症しますが、一度感染して発症すると、一生免疫が続くといわれています」

 -ワクチン接種を受けた方がよいのはどのような人ですか。

 「麻疹にかかったことがなく、1回もワクチンを受けたことがない人は感染のリスクが高いため、必ずワクチンの接種を受けてください。麻疹の予防には、2回のワクチン接種が奨められます。1990年以降に生まれた方の多くは、定期接種で麻疹を含むワクチンを2回接種しています」

 「しかしながら、定期接種が1回だった78年から90年に生まれた現在20~40代の人たちは、免疫が低い可能性があるため、追加の接種をお勧めします。医療従事者や学校、保育福祉関係者など感染拡大への影響が大きい人も積極的に受けた方がいいとされています」

 -ワクチンの効果を教えてください。

 「ワクチンを1回接種することで約95%以上、2回の接種で99%以上の人が確実に免疫を得ることができます。接種後、年数が経過すると、免疫が低下する場合がありますので、再びワクチンを接種することで免疫を増強できます」

 -ワクチン接種をいつ受けたか、どうすれば分かりますか。

 「母子健康手帳に接種した日やワクチン名などが記録されています。麻疹にかかったことがあるか分からず、接種を受けたか不明の場合、抗体検査で確認できますが、検査を受けずに予防接種を受けてもかまいません」

 -ワクチン接種後、どのくらいの期間で効果が期待できますか。

 「接種後2週間が経過すると、感染予防に十分な血中抗体が出現するといわれています。麻疹を発症している人と接触した場合は72時間以内に接種すれば、ある程度の感染予防が期待できます」

 -ワクチンの副反応は。

 「1回目の接種後7~10日目を中心に発熱や発疹が出る場合があります。2回目では発熱や発疹の頻度は低くなりますが、接種局所の反応が出る場合があります」

 -接種を受けられない人は。

 「MRワクチンは生ワクチンですので、妊娠中の女性は接種できません。風疹のワクチンも含まれているので、妊娠されていない方は、接種後2カ月程度の避妊が必要です。麻疹の単独ワクチンも妊娠中は接種できません」

 -妊娠中に麻疹にかかると流産や早産の可能性があります。

 「妊娠中はワクチンを接種できませんので、麻疹の流行時には外出を避け、人込みに近づかないなどの注意が必要です。流行時に同居者などに感染する可能性の高い方がいる場合は、かかりつけの医師にご相談ください」

 -定期接種前の赤ちゃんはどうしますか。

 「お母さんが麻疹の抗体を持っていても、生後6カ月以降はお母さんからの移行抗体が低下し、罹患の可能性が出てきます。流行時には生後6~12カ月未満に任意接種として接種が可能です。ただし1歳前の接種では免疫の獲得が不十分な場合がありますので、1歳になったら第1期の定期接種でMRワクチンを接種してください」

(2018年5月16日付 熊本日日新聞夕刊掲載)

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