米大統領、北朝鮮との「開戦準備」指示していた

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太田清

47NEWS編集長

太田清

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共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

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ホワイトハウスで話すトランプ米大統領(ゲッティ=共同)

 トランプ米大統領が今年2月の平昌冬季五輪の開幕前、安全保障担当の高官に対し、韓国にいるすべての米軍関係者の家族を避難させる準備をするよう命じていたことが分かった。CNNテレビが16日までに、複数の政府高官の話として伝えた。 

 米国が北朝鮮への軍事行動に踏み切る場合、韓国からの米軍家族避難は不可欠の準備とされていたことから、CNNは今年初めの時点で、トランプ氏が開戦を真剣に検討していたことを物語るものだと指摘した。 

 家族避難は、トランプ氏が安全保障問題のブリーフィングの場で、当時のマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に指示。マクマスター氏は国家安全保障会議のスタッフに大統領令の文書を作成するよう指示し、その日のうちに文書がケリー大統領首席補佐官の元に届けられた。一方で、一部の安全保障担当の高官は、北朝鮮が家族避難を戦争準備と受け取ることや冬季五輪が中止に追い込まれることへの懸念を感じたという。 

 こうした懸念を受け、マティス国防長官とケリー氏は家族の即時避難ではなく、米軍関係者が韓国に赴任する際に家族を同伴しないようすることにとどめるよう大統領を説得、新たな文書が作成されたが結局、これも実行に移されなかった。 

 その後、北朝鮮選手団の五輪派遣や南北合同チームの結成、金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正党第1副部長の訪韓など、南北の融和ムードの高まりで、家族避難がホワイトハウスの議題に上ることもなくなったとみられる。 

 ある元政府高官はトランプ大統領の意図について、軍事行動に消極的だったマティス長官や軍上層部に対し、自身が真剣に軍事行動の選択肢を検討していることを知らせるためだったと解説。一方、別の高官は大統領に開戦の意図はなかったものの、北朝鮮は家族避難の命令を軍事行動と受け取る恐れがあったと指摘した。 (共同通信=太田清)