【辺野古から】サンゴ移植に疑問

研究者「生き残る可能性低い」

沖縄県名護市辺野古への米軍普天間飛行場移設に向けて埋め立てられる海域で、絶滅の恐れがあるオキナワハマサンゴが見つかった(防衛省沖縄防衛局作成の資料から)

 沖縄県名護市辺野古への米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設に向けて埋め立てられる海域に生息するサンゴの移植を巡り、政府と沖縄県が応酬を続けている。しかし、サンゴの生物学を研究する大久保奈弥(おおくぼ・なみ)東京経済大准教授は「生き残る可能性は低い」と移植そのものに疑問を呈する。

 政府はサンゴを保護するとして、埋め立て予定海域のサンゴを移植する方針。対象は約7万4千群体に上る。移植には県の特別採捕許可が必要で、防衛省沖縄防衛局は順次申請している。

 これに対し、辺野古移設を阻止したい県は申請を慎重に検討することで工事を遅らせたいとの思惑がある。ただ行政として、正当な理由がなければ不許可にはできない。

 これまで海域では、絶滅の恐れがある希少サンゴ11群体が見つかっている。沖縄防衛局は昨年10月から特別採捕許可の申請を始めた。オキナワハマサンゴ1群体はいったん許可されたが、延長が認められなかった。またオキナワハマサンゴ8群体とヒメサンゴ2群体は「食害対策が検討されていない」などの理由で不許可となった。

 これに対し沖縄防衛局は4月までに、ヒメサンゴ1群体については現場で保護する方針に変更し、オキナワハマサンゴ9群体とヒメサンゴ1群体の特別採捕許可を再申請した。工事への影響を避けたい沖縄防衛局は5月9日、県に手続きを急ぐよう文書で要求した。

 だが、そもそもサンゴ移植に対して異論もある。大久保氏は、移植によるサンゴ保全の効果は低いと指摘する。那覇空港の滑走路増設事業では、移植されたサンゴの8割超が死滅したエリアがあるなど、移植で生き残る割合は少ないという。

 サンゴは動物で、サンゴ礁は地形。サンゴ礁には多様な生き物が生息し、サンゴ礁生態系を形成している。大久保氏は「サンゴを移植しても元の生態系は回復できない」と強調する。

 辺野古移設に限らず、沿岸部の大規模開発が繰り返されてきた沖縄では、官民が環境保全策としてサンゴ移植に取り組んできた経緯がある。大久保氏は「移植がサンゴ礁生態系を再生するというのは幻想であり、移植が埋め立て開発の免罪符となっている」と指摘。「辺野古のサンゴを守る方法は移設工事を中止する以外にない」と言い切る。(共同通信・那覇支局=関翔平)

東京経済大の大久保奈弥准教授(左から2人目)はサンゴ移植の効果に疑問を呈する=2月20日、沖縄県庁

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