NASCAR:TOYOTA GAZOO Racing 2018第12戦カンザス レースレポート

モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第12戦カンザス

マーティン・トゥルーエクス・Jr.が惜しくも2位

トラックでは19歳ノア・グラッグソンが今季初勝利

 1か月ぶりの1.5マイルオーバル戦となったカンザス。カップ・シリーズではカイル・ブッシュが上位を争うも、終盤のピット作戦で後退。代わって首位を争ったマーティン・トゥルーエクス・Jr.が2位でフィニッシュしました。

 トラック・シリーズでは前週ラスト2周のクラッシュで涙を呑んだ19歳のノア・グラッグソンが、雪辱を果たす今季初勝利をポールポジション及びステージ1,2も制覇という完全勝利で飾りました。

Monster Energy NASCAR CUP SERIES第12戦 KC Masterpiece 400
開催日:5月12日

マーティン・トゥルーエクス・Jr.が惜しくも2位

 5月12日(土)、米国中西部カンザス州カンザスシティのカンザス・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第12戦『KC Masterpiece 400』が開催されました。

 ここ数戦はショートオーバルとタラデガのスーパースピードウェイでのレースが続いていましたが、約1か月ぶりにNASCARの標準とも言える1.5マイルオーバルでの開催となります。カンザスは2001年完成の新しいコースですが、年間2戦シリーズが行われ、そのうちの1戦は“プレーオフ”の重要なレースです。

 トヨタ勢は過去5勝。カイル・ブッシュとデニー・ハムリンが1勝ずつ、そして昨年は2戦共にマーティン・トゥルーエクス・Jr.が制しています。トゥルーエクス・Jr.の初タイトル獲得にも大きく貢献したこのコースでの3連勝に期待がかかりました。

 12日(土)午後7時11分、1.5マイルオーバルを80周、80周、107周の3ステージ合計267周(400.5マイル:約640km)して競われる決勝レースがスタート。序盤トヨタ勢はハンドリングに苦戦し、上位を占めるフォード勢の後塵を拝することに。ステージ1はハムリンが7位、カイル・ブッシュが8位となりました。

 ステージ2はイエローコーションが出ないまま、途中でのグリーンフラッグピットを挟んで走り切ることとなり、調子を取り戻したカイル・ブッシュがフォード勢に割って入って4位。エリック・ジョーンズが9位、トゥルーエクス・Jr.が10位。

 ステージ3も前半はイエローコーションが出ないまま、200周目過ぎに各車グリーンフラッグストップ。そのまま走り切れる周回ではありましたが、残り30周を切ったところでダニエル・スアレツが他車と接触してクラッシュ。この日最初のクラッシュによるイエローコーションとなりました。

 これで全車ピットへ向かい、残り25周でカイル・ブッシュが6位、トゥルーエクス・Jr.が7位、エリック・ジョーンズが8位、ハムリンが9位で再スタート。しかし、再スタートしてまもなく、3位を争っていた2台がクラッシュ。ここでピット作戦が分かれました。

 残り15周という微妙な周回数で、新しいタイヤが有利か、前のポジションが有利かという難しい判断。ここでピットに向かわずコース上に残ったトゥルーエクス・Jr.が2位、エリック・ジョーンズが3位、ハムリンは4位へとポジションアップ。逆にピットへ向かったカイル・ブッシュはその後方、9位へと順位を落としてしまいました。

 新品タイヤの優位性を活かしての逆転を狙ったカイル・ブッシュでしたが、再スタート直後に7台が絡む多重クラッシュが発生しレースは赤旗中断。コースの清掃後、残り9周での再スタートが切られると、トゥルーエクス・Jr.が首位に浮上。カイル・ブッシュは中団グループの3ワイド、4ワイドバトルで行き場を失いポジションダウン。

 トゥルーエクス・Jr.の3連勝なるかと思われましたが、ファイナルラップで惜しくもライバルの逆転を許し、トゥルーエクス・Jr.は2位でチェッカー。ハムリンが5位、エリック・ジョーンズが7位、カイル・ブッシュは10位に終わりました。

 次週は19日(土)、米国東南部ノースカロライナ州コンコードのシャーロット・モーター・スピードウェイでオールスター戦が開催。シリーズ戦の第13戦は5月27日(日)、同じシャーロットでシリーズ最長の600マイルレースとして行われます。

ドライバー マーティン・トゥルーエクス・Jr.

「我々の判断は間違っていなかったと思います。残り3周か4周の時点でアンダーステア症状がひどくなり、右前タイヤからも振動が出ていました。今夜はずっとアンダーステア症状と格闘していました」

「恐らく自分で速く走れていると感じていたとしても、首位を争うには十分ではなかったでしょう。この結果はクルーチーフの好判断、そしてチームクルー全員の努力のおかげです。全体的に見れば楽しめた夜でしたし、望外な結果だったといえるでしょう」

NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES第6戦 37 Kind Days 250
開催日:5月11日

19歳ノア・グラッグソンが前戦の雪辱果たす今季初勝利!

完全勝利で“プレーオフ”進出権獲得

 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第6戦『37 Kind Days 250』が5月11日(金)にカンザス・スピードウェイで開催されました。

 11日(金)午後7時42分、1.5マイルオーバルを40周、40周、87周の3ステージ合計167周(250.5マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。

 今季2度目のポールポジションを獲得した19歳のノア・グラッグソンが首位を争い、6番手スタートのカイル・ブッシュ、10番手スタートのブレット・モフィットもこれに続いてトヨタ・タンドラの1-2-3でステージ1のチェッカー。

 グラッグソンは今季4度目のステージウィンを果たしました。今季エクスフィニティ・シリーズにレギュラー参戦、また、今大会トラック・シリーズに今季初出場となったブランドン・ジョーンズが7位につけました。

 ステージ2は、スタート前のピットでカイル・ブッシュが作業ミスによりポジションダウンも、終盤には追いつき、グラッグソン、モフィット、カイル・ブッシュ、ブランドン・ジョーンズとトップ4を独占。トヨタ・タンドラ同士の首位争いを何とか凌ぎきったグラッグソンが、ステージ1に続いてのステージ制覇となりました。

 ステージ3は、序盤に2度のイエローコーションが出された後は、最後の58周にわたってグリーンのまま推移する、微妙な周回でのレースに。残り30周を切ったあたりから上位勢はグリーンフラッグ下で最後のピットへ向かい、タイヤを交換。ここでグラッグソンは4本、カイル・ブッシュは2本交換と作戦が分かれました。

 ピットへ向かわず最後まで走り切る作戦を採った数台を、カイル・ブッシュとグラッグソンが猛追。グラッグソンはタイヤ4本交換の優位性を活かして残り5周でチームオーナーでもあるカイル・ブッシュをパス。

 最後は無給油作戦の車両もペースダウンや燃料切れで次々に脱落し、グラッグソンがトップチェッカー。前週ドーバーで残り2周まで首位を争いながらクラッシュで涙を呑んだグラッグソンが、カンザスで雪辱を果たし、ポールポジションスタートからステージ1,2も制する、完全制覇で今季初勝利を飾りました。この勝利で、グラッグソンは“プレーオフ”進出をほぼ確実なものとしました。

 今季3戦目のトラック・シリーズ出場となったカイル・ブッシュが2位で続き、トヨタ・タンドラは1-2フィニッシュ。自身がオーナーを務めるカイル・ブッシュ・モータースポーツにとっては、設立以来5度目のチーム1-2フィニッシュとなりました。

 ブランドン・ジョーンズは9位でチェッカーを受け、今季初のトラック戦でトップ10フィニッシュを果たしました。

 次戦第7戦は5月18日(金)にシャーロット・モーター・スピードウェイで開催されます。

ドライバー ノア・グラッグソン

「先週目前の勝利を逃して悔しい1週間を過ごしてきたドライバーにとって、最高の結果です。最後のピットストップの後、首位に立てると思ったのですが、無給油のチームもあり、何台抜いたら首位に立てるのか分かりませんでした」

「しかし、やっと今季初勝利を飾ることが出来、これでプレーオフにも進めます。今季はこれから更に多くの勝利を重ねて行きたいです」

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