「とつけむにゃ~金栗」熱演 「いだてん」玉名ロケ

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撮影の合間に懇談した中村勘九郎さん(左)と「走れ二十五万キロ」の著者長谷川孝道さん=6日、玉名市

 来年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺[ばなし]~」の熊本ロケが2~10日、県内各地であった。主人公金栗四三の地元、玉名市も舞台になり、多くの市民エキストラが撮影に協力。菊池川沿いの史跡「高瀬船着場跡」に大掛かりなセットが組まれ、水上交易で栄えた河港のにぎわいが再現された。

 熊本ロケは4月に続き2度目。6日にあった高瀬船着場跡の撮影では、主演の中村勘九郎さんが旧制玉名中時代の金栗を演じ、さっそうと「韋駄天[いだてん]走り」を披露した。

 「金栗さんは命懸けで走りに打ち込んだいちずな人。自分がどれだけとつけむにゃー(とんでもない)男を演じられるか、楽しみにしてほしい」。勘九郎さんは熊本弁を交え、日焼けした笑顔で声を弾ませた。

 後に金栗の妻となる春野スヤ役の綾瀬はるかさんも女学生姿で登場。兄・金栗実次役の中村獅童さんや養母・池部幾江役の大竹しのぶさんらも参加した。いずれも明治から昭和にかけて玉名地域に実在した人物だ。

 高瀬は長い交易の歴史を持ち、江戸時代には肥後米の重要な集積地だった。撮影では、当時の名残である石積みの船着場に、物売りの小屋や屋敷風の建物が造られ、人や物が行き交う明治の河港を演出。傾斜を利用して米俵を積み出す「俵ころがし」も実演された。

 現場の臨場感を高めたのが、玉名市が公募した市民エキストラだ。小学生から60代まで81人の募集枠に対し、市外も含めて250人が応募。この日は雨が降る中、54人が早朝から長時間の撮影に協力した。

 農民を演じた獣医師の早野誠也さん(58)=玉名市=は、玉名高陸上部OBで金栗の後輩に当たる。「細部にまでこだわった撮影に感心した。地元で金栗さんをさらに盛り上げたい」。女学生役だった管理栄養士の前川智美さん(35)=同市=は「一生に一度の忘れられない体験になった」と感慨深げだ。

 河港に欠かせない川舟のシーンでは、生誕地の和水町の和船職人高木義一さん(74)や玉名市の滑石漁協組合員らも撮影を支えた。

 ゆかりの地のロケに駆けつけた関係者も。金栗の生涯をつづったノンフィクション「走れ二十五万キロ」の著者で元熊日記者の長谷川孝道さん(86)=熊本市=は「金栗さんをお任せする」と勘九郎さんを激励。80歳を超える金栗夫妻の3人の娘は、10代の頃の母親を演じる綾瀬さんに「撮影がんばってね」と優しく声を掛けた。

 「地元が撮影に協力的で頼もしい」という演出の井上剛さん(50)=熊本市出身=は、「近年まで実在した人物のリアルな史実と、宮藤官九郎さん脚本のフィクションが交じり合った面白い作品になる」と力を込めた。(蔵原博康)

(2018年5月17日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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