【解説】新日鉄住金・ステンレス鋼板事業統合、最適生産体制を構築へ

世界9位に浮上、独自製品戦略は堅持

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 新日鉄住金ステンレス(NSSC)と日新製鋼のステンレス鋼板事業の統合が実現する。新日本製鉄時代に日新製鋼とステンレス事業統合を検討開始して以来、新日鉄と住友金属工業、あるいは日新製鋼と日本金属工業の事業統合を経て、20年越しのステンレス事業統合が具体化する。ステンレス鋼板で国内シェア60%を優に超える最大手メーカーが誕生することになる。

 NSSCは薄板・厚板・棒線の国内総合首位で主力拠点は光・鹿島・八幡の3製造所。日新製鋼は薄板でNSSCに拮抗し、主力拠点は周南製鋼所と熱延の呉製鉄所、熱延・冷延の衣浦製造所。新日鉄住金・特殊ステンレス事業部門は直江津製造所で薄板・形鋼を生産し、薄板はばね材など精密圧延品に強い。また新日鉄住金・八幡製鉄所がクロム系ステンレス鋼板の製鋼やステンレス鋼板の熱延・一部冷延を行っている。

 2017年度のNSSCのステンレス出荷量(棒線含む)は97万トンで連結経常利益は222億円。日新製鋼・ステンレス部門のステンレス販売量は56万トンで経常利益は91億円。単純合算で出荷規模150万トンを超え、粗鋼生産で180万トン級となるが、首位の青山鋼鉄の900万トンには遠く及ばず、8位以上との規模の差は依然大きい。汎用鋼種の競争力強化は不可欠だが、研究開発力や製造実力を武器に独自製品戦略に活路を見いだす在り方は今後も変わらない。

 新体制ではステンレス製鋼拠点は新日鉄住金・八幡、NSSC・光、日新製鋼・周南の3拠点となる。事業統合により、八幡でクロム系鋼種、光で特殊ニッケル系鋼種、周南で汎用ニッケル系鋼種を集中生産し、この生産分担を前提に光の連続鋳造設備を更新・最新鋭化することも選択肢の一つになる。冷延で周南を汎用鋼種の量産拠点にしたり、自動車排ガス材を新日鉄住金・八幡のタンデムミルに集約することも同様だろう。

 ステンレス鋼管事業でも新日鉄住金グループとして最適な事業の在り方を検討する。国内1・2位のステンレス溶接鋼管メーカーである日鉄住金ステンレス鋼管と日新製鋼ステンレス鋼管の統合などが選択肢になりそうだ。

 ステンレス流通業界の再編加速も必至だ。今回のステンレス事業統合は業界関係者にとって既定路線であり、流通再編は「この実現を経て具体化する」とみられてきた。物流費高騰などで流通加工センターの地産地消化が進む見通しの下、全国の最適流通加工網の構築も進展しそうだ。(谷山 恵三)