介護の人材確保 急務 2025年度 高齢者44万人に 養成校 定員割れ 県、説明会や講座開催支援

 高齢化が進む中、長崎県で介護に従事する人材確保が大きな課題となっている。県は「団塊の世代」が全て後期高齢者となる2025年度には、65歳以上の高齢者が約44万人(高齢化率35%超)に上り、必要な介護人材は15年度と比べ1万人近く多い約5万7500人と予測する。しかし介護福祉士を養成する大学、短大、専門学校では定員に対し、近年は入学者が半数割れとなる事態も目立つ。学費などの援助制度も原資の先細りが懸念され、人材確保への対応が急務だ。
 県長寿社会課によると、国家資格である介護福祉士を養成するカリキュラムがある県内の大学、短大、専門学校は計7校。14~17年度、これらの学科や専攻などの定員216~260人に対し、入学者は96~119人。充足率は43・6~51・8%と低い。
 18年度は、一部の専門学校にインド人留学生が多く入学したため全体の充足率を68・2%に押し上げたものの、こうした事例は「特殊なケース」(同課)だ。同課は「高校生ら若者には介護現場は『きつい』『給与が安い』とのイメージが強く、将来の職業の選択肢から外れているのでは」と頭を悩ませる。
 対策として国と県が原資を負担し、学費などとして介護福祉士を目指す学生に最大160万円貸し付ける事業がある。卒業後、5年間(離島や過疎地は3年間)、県内の介護事業所に勤めれば返還が免除される。
 ただ、ここにも課題がある。学生に加え、介護現場で働く人の研修費などを対象に貸し付けるため用意した原資は、16~18年度分で計約3億6千万円。うち約3億円は18年度までに支出される見込み。県は「このままでは原資がなくなる」と危ぶみ、国に制度の継続や全額補助を求める。
 こうした中、県も今年の夏以降に新たな入学者確保策に乗り出す。介護福祉士を養成する学校の職員が離島に出向いて高校生に説明会を開催したり、学生が出身高校で講座を開いたりする場合の経費を助成。介護の仕事に興味を持ってもらう機会を増やす考えだ。
 同課は「介護の仕事はお年寄りと触れ合い、感謝されることで大変さをしのぐやりがいや楽しさがある。ぜひ一度、進路や就職先として考えて」と呼び掛けている。

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