<名取川土砂流出>進まぬ撤去に県困惑 「体調不良」業者側釈明

一部が崩落し、名取川まで流れ込んでいる残土置き場の土砂

 宮城県名取市高舘熊野堂の残土置き場から名取川に流出した土砂の撤去が進まず、川を管理する県が手を焼いている。残土処理業者に対して指導を重ねるが、「撤去能力がないとは言えない」と歯切れが悪い。県は弁護士らと解決の道を模索するが、打開策は見いだせていない。

 土砂流出を確認した2013年10月から16年3月末までに、県は業者側に文書で2回、口頭で15回にわたり流出防止策などを講じるよう指導。16年4月以降は河川法に基づく対応に切り替え、指示や命令を計3回出してきた。

 土砂の量は約1万8000立方メートルと推定。業者の作業着手は確認しているものの、のり面などの土砂撤去には至っていない。定期的に見回りを続ける県仙台土木事務所に対して、業者の男性は命令に従う意思を示しているという。

 現場には今月上旬、荷台に土砂を載せた1台の2トントラックが乗り入れていた。業者の代表という男性は「撤去には着手したが、体調を崩した時期もあり、思うように作業が進んでいない」と釈明した。

 「本来は責任を持って片付けるのが筋だが、作業をやっていないわけでもない」と県の担当者は困惑する。税金を使った撤去の費用対効果も踏まえながら「行政代執行も選択肢の一つとして対応を検討している」と語った。

 「アユの餌になるコケが生える岩場が土砂で埋まっている。もう5年近くなる」。アユの放流などを行っている広瀬名取川漁協(仙台市太白区)の関係者は口惜しそうに話す。

 絶好の釣りポイントだったという現場は、のり面が土砂に覆われ、一部が川に流れ込む。7月1日にアユ釣りの解禁を控えるが、関係者の表情は晴れない。「誰も足を踏み入れなくなった。早く元の状態に戻してほしい」と語気を強めた。

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