【共英製鋼が社長交代会見】廣冨次期社長「海外事業強化で100年企業目指す」

 共英製鋼は17日、大阪市内でベトナム北部事業戦略説明と、6月就任予定の廣冨靖以次期社長の交代会見を行った。

 社長交代会見で高島秀一郎会長は「森光廣社長は、この3年間2ケタの利益計上を継続してくれたほか、大阪工場閉鎖、ベトナム・VKS社の製鋼圧延一貫化、米国・ビントン社買収など将来投資を積極的にやってくれた。今回、本人の意思もあり退任する」と経緯を説明。

 廣冨社長の選任については「中山鋼業再建の際、りそな銀行の担当者。それ以来のお付き合い。4年前に当社に来ていただき、ビントン社や今回のベトナムのVIS社買収、チー・バイ港湾事業の実務責任者として手腕を振るっていただいた」と紹介した。

 廣冨氏は78年(昭53)早大政経卒、大和銀行(現りそな銀行)入行。大阪市内などの支店勤務を経て05年常務執行役大阪営業部長、08年取締役、09年代表取締役副社長から14年に共英製鋼入社。同6月から取締役副社長執行役員。

 「ベトナムや米国など海外事業基盤が整い、この海外事業で収益を一段高めていくことと、一方、淘汰の時代に入っている国内では、コスト削減など筋肉質で比較優位に立てる会社に強化していくとともに、買収した鋳物会社の吉年、環境リサイクルなど周辺事業も含めてウイングを広げ、100年企業を目指していきたい」と抱負を語った。

 99年に共英が米国電炉から撤退した際にも銀行側担当者として関わったこともあり、ビントン社やVIS社の買収では「恩返し」の思いもあったようだ。

 定期採用の復活で入社した社員が40歳代後半になっているが、そうした社員も含めて人材の基盤づくりにも取り組み、当社の理念であるチャレンジ精神をさらに育んでいきたい」と、これまでの豊富な経験を軸に共英製鋼に新しい風を吹き込んでいく。

 「今日の自分は明日の自分でない」を自戒の言葉として会社員生活を送ってきた。趣味は年数回の山登りとゴルフ、読書。54年(昭29)6月生まれ、63歳。広島県出身。

© 株式会社鉄鋼新聞社