パンクを恐れずミディアムで47周走り切ったボッタスの底力【今宮純のF1スペインGP採点】

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は第5戦スペインGP編だ。 

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☆ ピエール・ガスリー

 ピークゾーンにはまればスイッチオン。予選アタックのセクター2地点(10コーナー手前85m)通過速度が最速311.6KMH。そこから一気に減速5G以上の突っ込みブレーキング、本領発揮だった。自分に満足できればマシンにも満足できるハミルトン、ミハエル・シューマッハ超え新記録の41回目ポールトゥーウイン。楽勝パターンがやっと戻った。

☆☆☆☆ マックス・フェルスタッペン

 フロントウイング翼端盤が欠落しても、ピット側のセンサーで異常事象にならなかったから走らせた。その状態で自己ベストを62周目にマーク。

 アンダーステアとオーバーが出ていてもあのペースで走れるRB14、走りこなしてしまう彼。空力エンジニアリングか、人力ドライビングか……。ある意味、エイドリアン・ニューウェイさんには極限テストになったのではないか。

☆☆☆☆☆ バルテリ・ボッタス

 ベッテルが17周目にピットストップ、そこで19周目にカバーを命じられ、そこからの47周(約220Km)はとてつもなく長かっただろう。

 ミディアム推奨周回数は40周程度、王道作戦を批判されるメルセデスだが実にレース距離の70%をカバーさせる勝負(いまにも破たんするのではと思われた)。

 前戦あのバーストを体験しているだけにゴールするまで、彼の心拍数が上がったはず。ただの2位ではない、この2位をやり遂げたボッタスの頬は紅潮していた――。

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