長崎平和推進協 有志が取り組み 英語で被爆体験継承を 自らの「言葉」で外国人に講話

 長崎平和推進協会継承部会(池田道明部会長、43人)の有志が英語で被爆体験を語る取り組みを進めている。被爆から73年が経過して語り部が減少する中、国際的な視点から広く継承を図る狙い。まずは被爆体験の原稿を翻訳し、発音練習を重ねながら将来的に自ら英語で講話する力を身に付けることを目標とする。
 「被爆者には時間がない」。4月上旬に長崎市内であった継承部会の総会。部会員の末永浩さん(82)は、外国人向け被爆体験講話を充実させるため、部会に「英語班」の新設を提案した。通訳を介する時間の短縮や自らの言葉で体験を伝える説得力を利点に挙げ、「挑戦しなければ被爆体験を世界に普及できない。踏み切る時が来ている」と訴えた。総会で諮った結果、経費面などを理由に班の創設は見送られた。しかし、一部の部会員から「外国人に直接話したい」と同調する声も複数上がった。
 継承部会は主に県内の小中学生や修学旅行生を対象に被爆体験講話を展開している。昨年度の実績は1253件、受講者数16万2688人。うち35件が外国人を対象にした講話で通訳を付けて対応するなどしていた。長崎市の観光客数が増加する中、今後も外国人向けの講話のニーズは高まると見込まれる。
 総会後、世界各国で被爆証言をした経験を持つ末永さんや既に英語で講話している山脇佳朗さん(84)らが中心となり有志を呼び掛けた。先月下旬の初会合には継承部会の10人が参加。今後は被爆講話で使っている原稿の英訳から始め、月1回の会合などで発音練習を兼ねて講話の実践を行っていく。外国人との質疑応答は技術的に難しいため、通訳なしで自ら被爆体験を語ることを直近の目標とすることで一致した。
 課題もある。初心者から上級者まで、部会員の英語レベルが異なる。10人のうち5人は自分が語る内容を英文にした原稿を持っていない。原稿作成には翻訳者のほかに添削や発音の指導に協力してくれる人が必要。班に会費はないため自己負担が出る可能性もある。それでも原田美智子さん(79)は「外国人にも自分の言葉で講話ができるならば、多少の費用は構わない」と意気込む。
 末永さんは「つたない英語であっても自分の言葉で被爆体験を語ると気持ちが伝わる。多くの有志が集まり、長崎に来た外国人に対しては英語の講話ができるよう頑張っていきたい」と話した。

初会合で今後の活動方針を決める被爆者ら=2018年4月下旬、長崎市平野町の市平和会館

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