愛犬が赤ちゃんにほえ続ける理由とは

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狩野沙保里さん(左)が抱いている蒼斗くんにほえるミニチュアダックスのアロマ。押さえていないと走り回ったり、跳び上がったりする=玉名市
「しつけのトレーニングは楽しいものだと思ってもらうことが大事」と話す家庭犬しつけインストラクターの佐藤亮さん=宇土市

<こちら編集局増刊号>  4月初旬に出産した長女が赤ちゃんを連れて里帰りしてきてから、ペット犬のミニチュアダックス(7歳、雌)がほえ続けるようになり悩んでいます。私たち夫婦や長女とだけの時はおとなしいのですが、赤ちゃんを見ると猛烈に反応します。2階から赤ちゃんの泣き声が聞こえた途端にほえ始め、家族全員が寝不足になってしまうほど。どなたか良い解決方法をご存じないでしょうか。(玉名市、パート従業員・女、61)=4月6日掲載

 犬や猫と人が一緒に暮らすために、欠かせないのがしつけ。ペットの心理をつかめず、悩んでいる飼い主は、少なくないのではないだろうか。

 熊日に読者から寄せられたのは、人の赤ちゃんにほえる犬についての悩み。犬のしつけについてアドバイスを受けるため、家庭犬しつけインストラクターの佐藤亮[あき]さん(49)=宇土市=を訪ねた。佐藤さんはカイハラ動物病院(同市)で動物看護師として働き、しつけ教室も開いている。

 佐藤さんによると、犬が赤ちゃんにほえるのは「よくあること」だそうだ。「見た目やにおい、泣き声など、犬にとって赤ちゃんは未知の生き物。恐怖や不安を抱いたり、強い好奇心を持ったりする」と指摘する。

 どうすれば、赤ちゃんと犬が一緒に和やかに過ごせるか-。まずは赤ちゃんの泣き声やにおいに少しずつ慣らすことが大切という。家庭でできるトレーニングとしては、録音した赤ちゃんの泣き声を、小さい音量で聞かせながら、おやつをあげたり、おもちゃで遊んだり、犬の喜ぶことをする。徐々に音量を上げながら繰り返すと、犬は「泣き声が聞こえていても、楽しいことが待っている」と理解するのだそうだ。

 このほか、赤ちゃんが使ったタオルや衣類などを犬の近くに置いて、自然とにおいに慣れさせることも有効だ。「赤ちゃんを抱いた人が、立ったままおやつをあげてコミュニケーションをとるのも、赤ちゃんになれる一つの方法」と佐藤さん。おやつを少し離れた場所に軽く投げると、動く物を追い掛けたがる犬の本能が刺激され、犬が「楽しい」と感じやすいという。

 しつけに不安があれば、家庭犬のプロへ相談を勧める佐藤さん。「育った環境で性格が違う犬の感情のサインに気付ける、しつけのプロに相談するのが解決への早道」とアドバイスする。

 一方、「しつけがされていても、子どもの不意の動きに犬が本能的にかみつくなどの事故は起こり得る。幼い子どもと犬が一緒にいる時、大人は絶対に目を離さないで」と注意を呼び掛ける。

 プロからのアドバイスを伝えるため、「こちら編集局」に悩みを寄せた荒木春美さん(61)と夫の正己さん(63)、ミニチュアダックスのアロマ(7歳、雌)が暮らす玉名市の自宅に向かった。

 長女の狩野[かのう]沙保里[さおり]さん(31)と孫の蒼斗[ひろと]くん(1カ月半)が退院した日、アロマは一睡もせずにほえ続けたという。春美さんは「夜中もみんな眠れず、長女は『自分のせいだ』と責任を感じて泣いてしまって…」と振り返る。

 アロマは正己さんの友人宅で生まれ、生後間もない頃から荒木さん宅で育った。「孫や娘に負担をかけ、ほえると近所にも申し訳ない。誰かに譲ることも考えたが、やっぱりアロマもかわいい家族」と涙ぐむ春美さん。

 佐藤さんからのアドバイスを伝えると、春美さんら家族は「泣き声やにおいに慣れさせる方法は、家でもできそう。ぜひやってみたい」と笑顔になっていた。

尻尾振る意味は

 「犬が尻尾を振るのはうれしい、楽しい時だ」とばかり思っていましたが、佐藤さんに「不安や警戒心など好意的な意味ではない時もある」と言われ、驚きました。確かに考えてみると、「人が笑うのは楽しい時だけ」と言っているようなもの。泣き笑い、せせら笑いなど「笑い」にも色々あるように、犬の尻尾にも複雑な感情がこもっているのだ、と気付かされました。アロマは私を見て尻尾を振ってくれましたが、喜んでくれていたと思いたい。(社会部・國﨑千晶)

(2018年5月18日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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