キャノンデール次期クロスカントリーモデル「新型F-Si」に新型レフティを搭載!そのメカニズムとは?

F-Siのために開発された新型レフティ

あらかじめ、キャノンデール・ジャパンのマーケティングマネージャー、伊藤氏から情報を聞き、驚かされた。いや、正直「呆れた」に近かったといってよい。「このF-Siのために開発された新型レフティは、シングルクラウンなんですよ」。

キャノンデールの「レフティ」といえば、車体の左側に配置されたたった一本のサスペンションでフロントホイールを保持している構造で見た目的にも大きなインパクトを与えている。メーカーはもちろん、使用する選手からもそれがいかに優れた作動と機能、そして軽量性を実現されたものであるかが唱えられ、そしてその独特のスタイルがユーザーにとって「カッコいい」ともとられている一方で、使用した経験がないユーザーには重量バランスが悪いのではないか、強度に問題が含まれているのではないか、という印象を持たれていることも事実だろう。今回の新型ではフレームに対して強固に保持していたであろうダブルクラウンのアッパーを廃したシングルクラウンとしてしまったのだ。

この新しいレフティフォークはスペイン語で「8」を表す「Ocho(オチョ)」と名付けられた。クロスカントリー用レフティの「第8ジェネレーション」というわけだ。「クロスカントリーフォークとしては市場最軽量の1446gで、同じく最も剛性の高いフォーク」。数値や文言ではそういわれても果たして本当に満足のいく性能や機能を果たしてくれるのだろうか……そんな見た目のインパクトはあまりにも大きすぎる。

世界初のシングルサイド・シングルクラウンサスペンション「LEFTY Ocho」はこれまでのレフティ フォークシリーズの倒立式を踏襲。
ワンアクションでブレーキキャリパーの脱着が可能な「STOPLOCK」をはじめ、内部構造のダンパーやエアスプリングを全て新設計とした。
フォークレッグ頭部にケーブル式のロックアウトリモートを内装し、ハンドルバーを握ったままの操作が可能になった。

試乗するコースは、この週末にワールドカップ第2戦が開催されるコース。レースコンディションに整備されたコースで試乗できる、という機会はそう有る物ではない。そして幸か不幸か、ここ数日の雨でウエット&マディなコンディションである。試乗したバイクは「F-Si WorldCup」。同社の歴代のクロスカントリーフレームの中では最軽量という900gのカーボンフレームだ。

滑りやすい路面コンディションながら、上り始めてすぐに「上るバイクだな」ということが判る。軽ければ上るかというとそうではなく、タイヤのトラクションとペダルのパワーを有効にタイヤに伝えるチェーンステイの長さとのバランスによるものだろう。加えて上りといえども障害物をサスペンションでかわしながら、狙ったラインを正確にトレースするハンドリングのニュートラル性が求められる。

それにしても、良く上る。一方でワールドカップレベルの、しかもところどころ岩の露出するウエットコンディションの下りでは、やはり素直なハンドリングで狙ったラインをトレースできるので通常なら躊躇するような条件でも難なく走ることも。「おおっ サスペンションが効いているぜ!」という印象ではなくむしろ「あれ?スルリと行けちゃった」的な無意識、不自然さの無い印象だ。通過して下から振り返って見上げると、「あ、結構難しめのところを行けちゃったんだ……」と。

結局、こんな条件でありながらコースを2周も回ってしまう。不慣れな機材に短時間しか乗れないことが多い試乗車の場合、本気には程遠いレベルの走りしかできず、バイクの素性がよくわからないまま終わってしまうことが多いもの。しかし今回は跨って上り始めた瞬間からこのバイクの「素直さ」にすっと馴染めた感じで「思ったまま」の走りができたようだ。

アシンメトリーな「AIチェンステイ」を採用することにより、29インチホイールでありながら、427mmというショートチェーンステイを実現した。

で、シングルクラウンのレフティはどうだったのか?肝心なことを忘れるところだった。が、走ってる間そのことを意識することもないほどに問題どころか違和感も何も感じなかった、というところだ。奇異に映るその形状と裏腹に極めて当たり前にサスペンションとしての機能を、しかも高次元で実現していた、という印象でありそれこそがキャノンデール社のゴールとしたことなのだろう。

クロスカントリーバイク、そして装備されるサスペンションフォークに対する評価を数値的に表現できるのはその「重量」くらいでしかない。「完成車重量xxxg、クラス最軽量」。そういった重量は確かに重要なものであるが、速く走るためには、ストレスなく走るためには軽量を実現しながらも犠牲にできないものがある。「剛性」。つまりフロントフォークであれば前後にたわんでしまって作動を妨げてしまわないための「縦(前後の)剛性」、ハンドリングやコーナーリング時にフロントタイヤが思った通りの軌跡を描いて旋回してくれる操舵感を左右する「フォーク(とホイール)捩り剛性」。大きくベダルに入力した際にフレームがしなって推進力をロスさせないための「フレームの横剛性」……。これらは数値で表すことが難しいが、バイクの性質や性能を左右する極めて重要な要素だ。

さらにそのバイクの幾何学的な、つまりジメトリーも走行性能に大きな影響を及ぼす。今回「29インチバイクとは思えない」とこれまでに29インチホイールバイクのイメージを払拭する印象をうけたのはこのジオメトリーによるものだ。バイクの加速性、トラクション、旋回性を大きく左右するのはチェーンステイの長さであるが、この新型F-Siのそれはクラスで最短の「427mm」と26インチホイールで多く採用されていた425㎜にほぼ違わない。つまり大径ホイールの恩恵にプラスして26インチの優位点として挙げられていた旋回性やパワー伝達のダイレクト感など全てのプラス要素を贅沢にも手に入れてしまった結果だ。

ハンドリングや旋回性を決定付けるフロント周りのジオメトリーや剛性については、「フレームはもちろんサスペンションフォークも自社で開発する」キャノンデール「Si(統合設計)テクノロジー」が最も活きる場所であり、最適なヘッドアングルに最適なフオークオフセット、サスペンションの作動特性など、絶対に他社が実現できないアドバンテージを持つ部分によるものである。

カラーレスシートクランプと27.2mm径シートポストを組み合わせ、ライダーの疲労を軽減する柔軟性を持たせている。

なぜキャノンデールだけがこれらの他社には追従できない数々の設計開発が実現できているのか、についてはこの場では文字数の関係で紹介することが困難である。一言で言えばキャノンデールがマーケットに合わせて設計しているのではなく、走る現場での要望や理想に向かってブレることのない設計理念の積み重ねでこれまでの開発を進めてきたからに他ならない。

レフティ「Ocho」や「F-Si」に採用されているテクノロジーについては6月20日発売の「サイクルスポーツ」8月号にて詳細の紹介を予定をしている。

国内展開のラインナップは以下のとおり。

F-Si CARBON 1 / BLK / S, M, L / 75万円(税抜)

F-Si CARBON 4 / VLT / S, M, L / 34万円(税抜)

F-Si CARBON 5 / GRN / S, M, L / 25万円(税抜)

F-Si CARBON 1
F-Si CARBON 4
F-Si CARBON 5

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