【ヘンアイ国産自動車の会】#16 ホンダ S800(スペック編)

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最近は路上で見かける機会も少なくなった、でも鮮烈に記憶に残る、少し変わった日本発のクルマたち。そんなクルマとの毎日を楽しんでいるオーナーさんに愛車の魅力を語ってもらう「ヘンアイ国産自動車の会」。ホンダ S800は、ホンダが四輪車製造に本格的に進出する大きなターニングポイントとなった歴史的にも重要な一台です。

ホンダを四輪界で一躍有名にしたスポーツカー

最高速度160km/h、ゼロヨン(0-400m加速)16.9秒。いまでは特段驚くべき数値ではありませんが、こんな性能を半世紀も前の日本で達成したクルマがありました。それが、今回紹介するホンダ S800です。

バイク製造からスタートしたホンダは、’60年代に入ると四輪車製造事業への参入を計画します。こうして1963年に登場したのが、当時の軽規格であった360ccエンジンを搭載したトラックT360と、500ccエンジンを搭載したスポーツカーS500でした。

ナンバープレートの大きさから如何にこのクルマが小さいかがわかります 出典  Funmee!!編集部

OHVやOHCエンジンが主流だった’60年代に、ホンダはバイクで培ったDOHCエンジンを四輪車にも採用。さらに各気筒にキャブレターを一基ずつ装備していました。当時DOHCエンジンと言えば、レースカーにしか採用されない先進の技術。そんな高性能エンジンを搭載したS500は、一気にスポーツカー市場で有名になるのです。

S500はその後排気量を拡大し、S600、S800と進化を遂げます。今回紹介するS800は1966年に登場します。791ccという排気量ながら、70馬力という当時の水準をはるかに凌駕したパワフルなエンジンを搭載した本格的スポーツカーでした。

S800のボンネットは一部が膨らんでいるのが大きな特徴です 出典  Funmee!!編集部

走るために必要な装備のみを備えた車内

ボディサイズは全長3.3m、全幅1.4mと現在の軽自動車よりも小さく、さらに車重も720kgと驚くほど軽量でコンパクトでした。そんな小さなボディですから、車内も決して広いとはいえません。

とはいえ、2シーターで余計な快適装備を持たないシンプルな構造ゆえに、ひとたびシートに座ってしまえば、外観から想像するよりははるかに快適です。

シンプルなデザインのダッシュに大きく視認性の良いメーターが並びます 出典  Funmee!!編集部

「800ccという排気量や71馬力というスペックから、遅いと思っている人も多いんですが、S800は現代でも驚くほど速いんです。エンジンは8,000回転まで一気に吹け上がるし、ボディが軽いので、キビキビ走ります。これは実際に乗ってみないと判らないと思いますが、本当に半世紀前のクルマとは思えないほど、高性能ですよ」とオーナーの平野さん。

タコメーターのレッドゾーンはなんと8,500rpmから! 出典  Funmee!!編集部

レースカーのような高性能エンジン

フロント側にヒンジを持つエンジンフードを開けると、HONDAのロゴが入るヘッドと、4連装されるキャブレターが目に入ります。吸気と排気それぞれにカムシャフトを配置した別名「ツインカム」とも呼ばれるDOHCエンジンは、当時は市販車に採用されることが珍しい最先端の技術でした。

足回りは独立懸架で、特にリアはS500/S600から引き継がれたホンダ独自のチェーンドライブ方式を採用します。ところがデビュー直後の1966年4月には、一般的なリジッドアクスル方式に変更されてしまいます。取材車両はそんな最初期のチェーンドライブ車という非常に珍しい個体です。

DOHCに4連装キャブを装着というレースカーのようなエンジンからは71馬力を発生しました 出典  Funmee!!編集部

これほどの高性能スポーツカーだったS800は、当然レースの世界でも活躍します。当時レースで活躍したマシンの多くはハードトップを装着したスタイルで参戦しています。これはオープン状態や幌より空力に優れていたという理由と、ヘルメットを被ってもヘッドスペースを確保できるという理由もあったようです。

長身の平野さんでもハードトップなら、ヘッドスペースを確保できるそうです 出典  Funmee!!編集部

■プロフィール

平野貴一郎さん

千葉県県在住。このクルマの保管のために、クルマと音楽、そして釣り道具に囲まれた憧れのガレージを所有。今年でこのS800とも29年目の付き合いという53歳。

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文&写真:勝村大輔(Daisuke Katsumura)

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